宇宙はどこまでわかっているか 
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銀河宇宙


 ハーシェルの予想に対して実際どのようにこの宇宙空間には星が散らばっているのかを調べる研究が、それから150年近く続けられてきました。そして最終的には銀河宇宙という考え方で決着がつきました。これは大論争(グレートディベート)と言われました。アンドロメダ大星雲という千年ほど前から知られていて、星のように点で見えるのではなくて、広がって見える大星雲があって、そのアンドロメダ大星雲が天の川の中にある星の集団なのか、天の川の外にある集団なのかという大論争が起こったわけです。そしてその解決方法は距離を測ることでした。距離を測って天の川の端よりも遠くにあれば外にあり、近くにあれば天の川の中の星団、つまり星の集団であるということです。見かけはほとんど天の川の中にある他の星団と同じ明るさなので、内か外か区別がつかないのです。
 そのような時に、変光星という明るさが規則的に変化する星を使って距離を決定する方法が開発されました。変光星の明るさの周期と絶対光度という、その星が元々放っている全エネルギーとの間に関係があることがわかり、その関係を利用したのです。変光星の周期を測り、絶対光度を決めて、そして絶対光度と見かけの明るさを比較して距離を求めるという方法です。そしてこの方法を使うことによってアンドロメダ大星雲は天の川の外にあって、天の川の大きさの3000倍も遠くにあるということがわかりました。しかし普通の近くにある星の集団と同じくらいの明るさなので、元々放っている光がすごいということです。実際、アンドロメダ大星雲は天の川よりもより明るいのですが、同じくらい、あるいはそれ以上に明るい星の集団であるということがわかり、それで銀河と呼ぶようになりました。銀河は星がおよそ1千億個から2千億個、大きいもので3千億個くらい集まったものです。私たちが住んでいるのは平べったい銀河です。そしてこれを天の川銀河(Milky Way Galaxy)と呼んでいます。このように銀河という塊に物質が固まり、星として輝いていて、それが点々と宇宙空間に分布しているということが1924年に明らかになり、銀河宇宙像が確立しました。

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