ハーシェル
世界が多数であるという考え方は、特にルネサンス期に出てきました。大航海を経て、様々な新しい土地や人類を発見したので、天上世界も多数世界なのではないかと考えるようになったのです。そのことをはっきりと示したのがハーシェルです。ハーシェルは口径45センチの望遠鏡で、天の川の中の星の散らばりを調べました。彼は天球面を碁盤の目のように切って番地をつけて、各番地ごとに星が何個あるかというのを数えていきました。さらにその星も明るさごとに数えていったのです。非常に明るい星が何個、真ん中くらいの明るさが何個、中くらいの星が何個というように数えていきました。
そして彼はすべての星はみんな同じ明るさであると仮定しました。すると明るく見える星は近くにあり、暗く見える星は遠くにあるということになり、三次元分布として星の分布を得ることができました。彼は太陽や地球が宇宙の真ん中にあると思い、この軸を中心に一周したものを星雲と呼び、星の塊であると考えました。したがってハーシェルは、星というのは厚みと直径の比が5対1くらいの歪な格好につまっていると考えました。その考え方は正しいのですが、実は私たちは真ん中に住んでいるのではなく、端っこの方に住んでいるのです。そして実際はもっと半径が大きい円盤になります。私たちは端の方に住んでいるとすると、星がたくさん見える方向と見えない方向があります。そして星がたくさん見える方向が天の川として見えているということです。また、星が歪に分布しているからこそ、天の川のようになって見えるという解釈をしたわけです。そして彼はこのような星の塊、つまり星雲が宇宙に転々と存在していると考えました。これを星雲仮説と呼んでいます。