輝け あいちっ子 
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多様な人とのかかわりで育つ社会性

 人間は、だれでも、一人では生きられず、周りのたくさんの人に助けられ、教えられ、影響・感化を受けて成長します。子どもの時は、それらを自ら求め選択することは難しいことです。人として豊かな感性を持ち人と交わって生きていくために、親は、大人は、工夫と関心を持って、その場を用意してやる必要があります。
(1)祖父母の知恵
 わが国は世界で最も長寿の国になり、人生80年を享受できるようになりました。祖父母の世代も、時代とともにその姿は変化をしていくものですが、若い世代と根本的に違うのは、その経験です。長い人生で身につけたものはどんな書物より中身の濃いものです。
ア 「歩いて行く道」「歩いて来た道」
 どんな親でも、子育ては「初めてのこと」ばかりです。未知の中でだれでも手探りの不安があります。夜中に熱が出ておろおろしたり、ちょっとした事故にもあわてたりします。そんな時、祖父母のちょっとした一言が適切な処置につながったりします。祖父母たちにとっては「自分の歩いて来た道」ですから、変事にも動ずることなく助言できるのです。そして、それは、若い夫婦にとっては大きな安心を与えられることになります。子育てに付随する不安は「未経験」によるものでしょうから、この経験者からもらう「安心感」には貴重なものがあります。これを山登りに例えると、「今はゆっくり歩けばよい」「この先は急な坂がある」「どこに休む小屋がある」「もうちょっとで頂上だから」などと教えてくれ、手を貸してくれる案内人がいてくれるようなものです。自分たちだけで手探りで登る不安や危険、体力の消耗を考えると、案内人、経験者のありがたみがよくわかります。
イ 現代の状況
 確かに、人生の経験者としての祖父母の果たす役割には貴重なものがありますが、現代では若い夫婦と子どもだけの、いわゆる核家族が少なくありません。住宅環境、職業環境も大きなネックになっています。今後、少子化がさらに進めば、すべての家、すべての家庭に祖父母がいるとは限りません。
 また世代間の考え方に違いがあってかえって意見の対立を呼ぶこともあるでしょう。
 しかし、高齢社会の展開によって、祖父母の世代の占める数はまだ高まっていきます。人生の先輩は、自分の家族だけでなく、周りに、地域に、たくさんいることになります。その中ではやむを得ず「老人世帯」や「独居」の暮らしをする人もまた多いことでしょう。家族の中ばかりでなく、地域の祖父母世代も含めて、子育てに力になってもらえる仕組みも大切なことになるでしょう。
 祖父母世代にとっても、地域の中で「生きがい」が見つけられるよう、「人生の経験者」を新しい時代の「子育て応援者」に組み入れる工夫が必要です。

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