輝け あいちっ子 
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(3)小学生
 思春期に見られるいろいろな問題行動の芽は、あとでたどってみると、小学生の時、特に低学年・中学年の時期に潜んでいることが多いようです。それだけに、小学生というこの成長期に、しつけの方針など、夫婦間の足並みをそろえ、一致協力して子育てにあたる中で、基本的なしつけをしていくことが必要です。
ア リズムのある家庭生活
 この時期は、生活の場も広がり、様々な欲求や能力が発達します。そこで、いろいろな刺激に目や心を奪われ、生活のリズムをくずしがちになります。食事と起床・就寝の時間を生活時間のポイントとして押さえ、遊びや運動、学習、休息のバランスのとれたけじめのある生活が習慣として定着できるよう援助することが大切です。時には親子で、一緒に遊びを楽しむようにすれば、子どもとのコミュニケーションも深まり、遊び方についての助言もできるでしょう。
 遊びに使う時間帯を子どもとよく話し合った上で約束し、それを守ることを通して、充実感と自己抑制力をはぐくんでいく等の配慮も必要です。
イ 社会のルールとマナー
 子ども自身に礼儀の意義を自覚させ、礼儀を身につけさせるには、小学校低・中学年が最も望ましいと考えられます。
 小学校低学年では、あいさつがはっきり言えることから、自己表現の第一歩が始まります。子どものあいさつに、大人も適切に対応するように留意することが大切です。
 人前での不快な振る舞い、粗野な言葉遣い、間違った言葉遣いなどは、大人が身をもって教えなければ、なかなか気がつかないのがこの年代です。家族で出かけた時や、家庭に友達が遊びに来たり、来客があった時などをとらえて、積極的に相手の立場に立った指導をすることが必要です。この時期に親に厳しく言われたことは、生涯心に残るものです。
食事のとり方

家庭の手伝い
ウ バランスのとれた楽しさのある食生活
 最近、子どもたちの食生活の乱れとして、「朝の欠食」及び「孤食の増加」等が問題としてあがってきています。
 朝食をとらない場合には、脳を働かせるためのエネルギーが不足し、倦怠感や集中力の低下、また、いらいらして落ちつかないといったような情緒不安定の状態が生じることがあります。
 また、現代は、食べたい時に、いつでも何でも買い求めることができるので、過食や偏食による栄養摂取のバランスのくずれも出てきています。
 家族そろって食卓を囲み、手作りのバランスのとれた食事が楽しくできるように努力したいものです。
エ 家族の一員としての手伝い
 近頃の家庭生活では、子どもが手伝いをする姿が見られなくなっているようです。家族が話し合い、ルールを作って、子どもに家族の一員としての役割を分担させることが必要です。手伝いという生活経験を通して、子どもの中に、家族の一員としての意識やボランティア精神がはぐくまれ、生きていくことへの意欲や喜びを失わない豊かな人間性が育つと考えられます。
オ 安全教育
 低学年の時期は、できるだけ具体的な行動場面をとらえて、指導することが重要です。例えば、休日に通学路を親子で一緒に歩いてみて、危険な箇所や安全な歩行について、確認してみることもよいでしょう。
 中学年、高学年になると、一方的な指示を中心としたしつけや指導では納得しなくなります。そこで、家族で具体的な行動場面を総合的に眺め、その場面に潜む危険を話題にして考えさせるなど、安全な行動について、話し合うことが大切です。
カ 家庭生活と読書
 最近では、子どもたちの本を読む機会が減って、活字離れが進んでいることが指摘されています。
 小学生のうちに、読書の楽しさを教えたいものです。初めのうちは、読み聞かせをしたり、絵本を一緒に見たり、さし絵を見せながら語りかけたりして、本に興味を持たせ、親しませることがよいでしょう。ともに読書することを通して、読書習慣を築き上げていくことが望まれます。
キ 自然との触れ合い
 自然は、それ自体私たちの心に潤いを与え、人間としての生き方をより豊かにしてくれます。家庭でも、身近な自然に目を向けたり、話題にする機会を多く持てるように心がけたいものです。
ク 友達との触れ合いから学ぶもの
 小学校の高学年から思春期までの間では、友達同士の果たす役割が大変重要です。それは、友達と交わる中で社会性、創造性、協調性、正義感、責任感などを学び、信頼関係を培い、健全な自己概念を形成し、リーダーシップを体得していくことが期待されるからです。
 子どもの友達について、その幅の広さを認め、友達の生活態度とわが子の生活ぶりを見守りながら、友達の隠された長所を見つけることが大切です。
テレビゲームの時間

子どもたちが持っているもの
ケ テレビ・テレビゲーム・マンガとの付き合い方
 テレビ・テレビゲーム・マンガは、情報源・娯楽源として子どもの家庭生活に欠くことのできない地位を占めています。しかし、これらには多かれ少なかれある種の毒があります。子どもたちは、毒をも含んだこれらのパワーに心を踊らせているのです。
 したがって、これらのものを規制することは容易ではありません。全く自由に放任するのではなく、節度をもった接し方を教え、実行するように意識させることが望まれます。特に、俗悪・低俗と言われるものに関して、その俗悪ぶりを親の目で確かめて、話し合うことが必要です。
コ 子どもの持ち物と金銭感覚
 多くの子どもたちは、小さい時から欲しい物がすぐ手に入る状況で育ち、最近では、クレジットカードを持ち歩く子どもさえ見られます。
 金銭感覚は、社会の暮らしを反映しながら大きく変わりつつあると言えます。この年代の子どもたちは、友達が持っている物と同じ物を欲しがる傾向があります。それを親にせがんで買って貰うことが多く見られます。また、お金さえあれば高価な情報機器など何でも買えるという金銭至上主義的な考え方もうかがわれます。したがって、金銭の使い方、貯蓄については子どもの成長に合わせながら、親が意図的に教えておくことが必要です。
 おこづかいは子どもの楽しみです。子どもが自分で欲しい物を探し、見比べて、欲求をコントロールしながら、うまく使うように助言したいものです。その際、品目と支出だけを記入する大まかなこづかい帳をつけさせることも効果的でしょう。
サ 喫煙と飲酒
 子どもは、タバコが人の体にとって害があるということにうすうす気付いています。しかし、他方でタバコに興味を持ち、好奇心で喫煙してみたいという子どももいます。タバコに含まれるタールは、口腔や肺にこびりついてしまうので、喫煙者の肺機能を著しく低下させるというようなタバコの害の恐ろしさを理解させたいものです。喫煙による影響は、喫煙している本人だけでなく、煙を間接的に吸う周りの人にも害を及ぼします。
 最近では、喫煙場所を指定するなどの措置がとられるところが増えてきました。
 子どもの飲酒については、心身の発達が未成熟なため諸機能の発達に悪影響を及ぼします。特に、感情の不安定、記憶障害、意識障害など、精神機能の健全な発達を阻害しやすいと言われています。
 大人は、子どもの喫煙や飲酒にかかわる環境などについて、小学校高学年ごろから十分気を配っていくことが大切です。


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