輝け あいちっ子 
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(2)幼児期
 この時期は、体の機能が発達してきて、乳児期に身につけた愛情や信頼をもとに、自分自身でいろいろと動き出していくときです。自立と依存に揺れ動く生活を通して、何でも自分でしたいという自律感や親を離れても過ごせるという自立感を持てるようにし、さらには、何度もやっているうちに少しずつ上手になることを実感し、自分に自信を持つようにさせる大切な時期です。
ア 幼児前期(1歳半〜3歳頃)
(ア)自分でしたがる時がしつけ始める時期
 自分でスプーンを持って食べようとしたり、パンツを自分で着脱しようとしたり、また、靴をはいたり手を洗ったりすることも自分でしようとします。この時期が、それを教え始めるの、に適切な時期です。この時期を逃すと子どもの意欲を失わせたり、この時期より早すぎると子どもが失敗感を持ち自信をなくしてしまったりすることがあります。初めは、失敗が多く時間がかかりますが、繰り返し、根気強く援助していきます。子どもに自分でできた喜びを味わわせていくことで自律感が育っていきます。
(イ)お母さんお父さんを好きになることがしつけの基盤
 子どもは自分の思うようにならないと、いらいらしたり、かんしゃくを起こしたり、反抗したりして自己を主張しようとします。むやみに押さえつけてしまうと、子どもは自己を主張しなくなり自信をなくしてしまいます。一方この時期に子どもの自分自身を抑える力を育てることも必要です。子どもの要求のままに親が振り回されていると、この自己主張は「わがまま」になってしまいます。子どもは本来、好きな人のすることは何でもまねてみたくなったり、好きな人がうれしそうな顔をすると、そのことを何度も繰り返しやろうとしたりします。
 大好きなお父さんやお母さんが言うから、耳を傾けたり、気持ちを整理しようとしたりします。自分の行動がほめられたり、受け入れられたり、叱られたりすることで、子どもは、良いこと、悪いことの判断を一つ一つ自分の中に取り込んでいきます。
イ 幼児後期(3歳頃〜就学前)
 (ア)子どもの行動を見守りながら「やる気」を育てる
 自分で着替えをしたり、はしを使って食事をしたりするなど、いろいろなことが自分でできるようになってきます。できるようになることと身につくこととは違います。できるからと手を離してしまわないで、上手にできたところをほめ、うまくいかないときには、こつを知らせたりして見守りながら、子どもに自主的にやろうとする気持ちを根気よく育てていきます。大事なポイントは押さえながら、子どもに任せておくことも大切な時期です。
 (イ)親は子どもの心の基地になる
 身の回りのことが自分でできるようになったのに、親にやってもらいたいとぐずる時があります。また、子ども同士でけんかをしてつらい思いをした時や、仲間と遊んでいても自分の思いどおりにいかないといつの間にか抜け出して、親のもとにもどってくるときもあります。そんな時、「自分でやりなさい」「情けないね」と突き放したりしないで、親のところに来たかった子どもの心を受けとめ、優しく手をかけてあげましょう。親の愛情で気持ちが満たされると、次には、また自分からやろうとしたり、友達の中へ入っていこうとしたりします。この時期、親に依存しながら自立をしていきますが、子どもが頼ってきたときは、温かく手を差し伸べることが、結局自立への早道となります。
(ウ)「あなたのことが大好き」という気持ちを伝える
 親にとって気になることは、口に出して子どもに言いますが、子どもができていることや、子どもの態度でうれしかったことなどについては、案外、口に出して認めることが少ないものです。心の中では認めていても、言葉に出さないので親の気持ちが子どもに伝わっていないことが多いのです。どんなさ細なことでも、気がついたことがあれば、ほめたり認めたりしていきたいものです。特に、下に弟妹ができた時にはスキンシップも含めて「大好き」という気持ちを繰り返し伝えていくことが大切です。自分のことを見ていてくれるという親への信頼感を支えにして、子どもは、自分の世界を広げていくことができるのです。
(エ)絵本などを通してイメージする力や思いやる心を育てる
 テレビのヒーローや絵本に出てくる主人公になりきったりして、想像の世界が著しく伸びてくる時です。けれども、テレビなどの一方通行の情報だけでは、自分の気持ちを伝えたり受けとめてもらったりすることはできません。お父さんお母さんの温かい声での語りかけを通して、子どもはいろいろな感情や気持ちを理解したり、自分以外の相手を思いやったりすることができるようになるものです。
 いろいろなことを吸収しようとするこの時期に、親の愛情のこもった言葉を通して、絵本を読んで聞かせたり、お話を聞かせたりすることで、子どものイメージする力や思いやる心の基礎が育っていきます。寝る前のほんの一時、子どもにお話を聞かせる時間を持ちたいものです。


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