輝け あいちっ子 
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家庭教育で育つもの

(1)人は一人で人になれない

ア 人はどうして無能な状態で生まれてくるのか
 お乳しか飲めない、言葉がしゃべれない、それどころか歩くこともできない。・・・赤ちゃんは無能な状態で生まれてきます。でも、この状態が大切なのです。
 もしも、生まれたばかりの赤ちゃんが人以外の動物に育てられたとしたら、その動物に似た生き物になると言われています。人間の赤ちゃんほど、育てられた大人の影響を受ける生き物はいないのですが、それはまたいろいろな育ち方ができるという大きな可能性でもあるのです。

イ 赤ちゃんはとても有能である
 赤ちゃんは一見無能な状態で生まれてきますが、実は、とても有能です。一人で動き回ったり生活したりはできなくても、周りのことはよく分かっています。いろいろな刺激を敏感な五感で感じ取り、少しずつ感情や知恵が育ちます。「マンマンマ」と言ったら、お母さんがにこにこして「ママって呼んだのね。いい子ね。」と答えて抱っこするということを繰り返しているうちに、お母さんを「ママ」と呼ぶようになります。このような有能さは他の動物には備わっていません。

ウ 親の役割
 赤ちゃんは、大人に保護されなければ生きていけません。また、泣く、笑う、怒る、などの自分から発したサインに応答してくれる人がいて初めて人になれます。つまり「人は一人では人になれない」と言えます。それでは、その「人」は誰でもよいのでしょうか。お乳をくれておむつを取り替えてくれ、危険から守ってくれる人、日常生活の知恵や考え方などを教えてくれる人は誰でもよいのでしょうか。
 今日までの研究によれば、赤ちゃんがバランスよく豊かに育つためには、赤ちゃんが特別に大好きと思える人が必要です。
 いなくなれば大泣きする、後追いする、抱っこされれば心から安心できる、そんな人がいなければ赤ちゃんの発達がうまくいかないことが分かりました。このような人と言うのは日常ではお母さんやお父さんです。実の親でない場合もありますが、この場合でも、親として位置付いている人が必要なのです。親は子どもにとって自分を心から愛し受け入れてくれる人であり、子どもが心から信頼できる「安心基地」なのです。

エ 人の輪が広がって
 最初は両親や祖父母、兄姉などの家族が、子どもを取り巻く人ですが、徐々にかかわる人が増えていきます。お正月やお祭りなどで出会う親戚、遊びに出かけた公園で出会う近所の人や子どもなど、子どもの周りの人の輪が広がっていきます。人の輪が広がることで、世の中には様々な人がいることを学びます。
 密室で、母子関係のなかだけで子育てをすることは好ましくありません。子どもだけでなく、親にとっても人の輪を広げることは大切なことです。

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