心理学からみた教育の隠れた次元 
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隠れた次元とは?

a)E.Hallの“hidden dimension”の発見
 人間の当たり前の行為にあらためて光をあてる研究は、心理学では1960年代から始まりました。こういったことに最初に目を向けた人として有名なのがエドワード・ホールです。この人が『The Hidden Dimension(ヒドゥン・ディメンジョン)』という本を書いたのです。まさに隠れた次元ですが、実は今回の公開講座のタイトルもホールの本からとってきました。これは名著であり、みすず書房が今でも何版も重ねているので本屋で簡単に見つけられると思いますが、日本語訳は『隠れた次元』です。
 人間の行為の中で、普通は当の行為者自身にも意識されないような、かつ、その行為によってコミュニケーションを行っている人たちの間でも意識に上らないような、そういった行為の次元があることをホールが初めて主張しました。ホールは実験屋ではなかったので、主に観察に基づいて、行為の中に隠れた次元があることを非常に見事なかたちでいくつか示してくれたのです。

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