◆ 測量技手の時代 |
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測量人夫として働きながらカネトは、測量技手をこころざし初めていた。しかし、それにはとても難しい試験に合格しなければならなかった。仲間の人夫が寝静まってから、カネトは昼間の仕事でくたくたの体をひきずりながら飯場小屋から抜け出した。そして、借りた講義録を読んだ。人夫たちのからかいにも耐えたカネトは、そのかいあって、一年の後、見事合格した。 その後、さらに勉強を続けたカネトは、ますます測量の腕をあげた。そして北海道の鉄道建設の先頭に立って働いた。
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差別によって小学校のころから何度も苦しんできたカネトは、ついに危険な岩盤と荒れ狂う天竜川が流れる天竜峡谷測量を頼まれた。 「自分の才能が認められることほどうれしいものはない。」と、飛び上がらんばかりに喜んだ。 これからもカネトはアイヌの誇りを持ってやり抜いていこうと思った。 カネトは、大きく深呼吸をした。さわやかな朝の空気が、体のすみずみまでゆき渡っていった。 誇り高い、若き酋長の顔を、朝の光がとらえた。大雪山が、アイヌの測量隊を祝福するかのように、晴れていくもやの中に姿を見せた。
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