引用のかたち−全ての言葉は潜在的に引用されている!− 
もどる  目次へ  すすむ  
自分の主張を表す「って」

 
 自分の主張を表す「って」とはどういうものかと言いますと、

 いいから俺にまかせて置けって。

 これは「置けって」の「って」のところの音の高さが、少し低くなるところがポイントです。音を高くすると他人の言葉を引用する表現になってしまうからです。これは「まかせて置け」という自分の発言を、この話し手が前に別の場面で言ったというのではなくて、今のリアルタイムでの自分の気持ちを述べているものと考えてください。しかし「って」が文末で使われた場合は、普通は引用を表します。ですから、上の「置けって」の用法も「引用」の一種と見たいところです。
 一方、「って」と同じように引用を表す言葉として「と」というのがあります。「と」には、リアルタイムの自分の主張を表す用法はなく(方言にはもしかするとあるかもしれません)、普通の引用の用法が目立ちます。それから「って」という言葉は文末以外なら、他にもいろいろな用法が見られます。例えば、「公開講座って今度いつあるの?」という場合の「って」がありますが、その他の用法は省略いたします。結局、次のことを注意しておきたいと思います。

 「リアルタイムの自分の言葉の引用」というものがある。
もどる  目次へ  すすむ