宇宙はどこまでわかっているか 
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宇宙の始まり


池内了先生
池内了先生
 「宇宙はどこまでわかっているか」という表題をつけたのは、だんだんと宇宙というのがわかってきたからです。宇宙が始まって、いろいろ進化して現在の姿に至っていますが、私たちが研究する手だては、現在の姿から、より過去へ遡っていくことになるわけです。つまり普通は時間軸どおりに始まりがあって、現在まで変化していきますが、現実に調べる方は近くから調べていくので、現在から少し昔、そしてそのまた昔というように辿っていくわけです。その意味では、帰納的方法と言いますが、現在知っている知識を元にしてより過去を推測していきます。しかし話としては必ず時間軸に沿った話をしていくわけです。したがって、人々が宇宙を認識するということは、まず現在の知っている世界を認識した上で、より過去はどうだったのだろうかというように推測していくわけです。
 まず宇宙の認識の歴史から辿ってみると、一番初めに宇宙に関して描かれた図は、エジプト人が描いた宇宙図です。もちろん、この図が描かれる前の神話時代にも宇宙論はありました。世界中あらゆる民族は神話を持っていますが、そこには共通した主題があります。どのようにして宇宙が始まったのか、どのようにして人間が生まれたのか、どのようにして文化が生まれたのか、というのが神話の3つの主題です。宇宙が卵のようなものから生まれたとか、ある日、光あれと言われて天と地が分かれたとか、あるいは天から人々が降りてきて、この世界を創ったとか、様々な宇宙神話がありますが、それは空想した世界です。 



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