天文学への誘い、大宇宙の誕生 
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重い星

 宇宙には、例えば太陽の10倍ぐらいのとても重い星があります。太陽は銀河全体からすると、非常に小さい芥子粒みたいなものなのです。このような重い星は、実は太陽の10倍ではなく、太陽よりも1万倍ぐらい明るく輝きます。どうやって輝いているかというと、水素をヘリウムに変えるという反応で、水素を燃やして輝いているのです。ところが、燃料はたかだか10倍しかないのに1万倍も明るく輝いている。結果どうなるかというと、寿命が1000分の1になります。つまり、重い星の寿命は非常に短いのです。太陽の寿命は大体100億年なので、重い星は1億年も生きられません。あっという間に燃え尽きてしまいます。重い星もやはり膨張しますが、膨張の仕方が爆発的です。「超新星」という大爆発を起こして星全体が粉々に飛び散っていきます。しかも、爆発の時に金・銀・プラチナまで作るのです。太陽だと、せいぜいヘリウム程度ですが、重い星は炭素も作るし、鉄も作る。つまり鉄も金も、はじめはこの重い星が爆発して、宇宙空間にまき散らされたものなのです。いったん飛び散った物質はどんどん冷えて固まって、やがてそこで重力が働き、同じ運命を辿って次の星になっていきます。
 このように宇宙の物質というのはガスから星になり、星が進化して大爆発し、あるいは外にガスを噴出してまた宇宙空間に戻っていって雲になり、それが新しい星を作るという、そういう非常に壮大な循環をしているということです。地球は約90億年前に生まれました。90億年間、宇宙では星が「生まれては死に」ということを何度も繰り返しているのです。従って、46億年前のその当時に雲があり、その雲の物質を使って私たちの太陽系や地球は全部できました。まさに私たちの体は星だったわけです。宇宙にはそれ以外の物質はないのです。そういうことも天文学の研究で分かってきています。

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