脳は若返る 
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脳細胞を増やすには


 人間は年を取るとことは避けられないですよね。年を取ったら臓器は新しくならないのです。しかし、脳だけは新しい脳細胞が増えてくるのですよ。すばらしいことじゃないですか。
 さて、それではどうしたらいいかということなのですが、実はアメリカでMRIを使って、お年寄りで脳が萎縮している人がどうしたら脳細胞が増えるか、萎縮が少なくなるかと調べている人がいます。そうすると一番大事なのは接触なのです。つまり、医者とか看護婦が言葉だけで治療するのと、アメリカではハッキングと言いますが、抱きしめて治療するのとものすごく違うのですね。愛情のある対応は非常に脳細胞を増やします。それは、脳内のセロトニンが増えるからなのです。うつ病になるとセロトニンを増やす薬を使用します。セロトニンが少なくなると我々は非常に不安になり、多くなると非常に元気になります。この脳のセロトニンは私たちの考え方によって変わるのです。例えば中日ファンは、中日が勝てば元気になるというのは、脳のセロトニンが増えていると言うことです。私たちの思いというのは、単に細胞を増やしたりするということだけではなくて、元気になる脳内物質を増やしています。従って、それが増えてくると幹細胞が分裂してくるのです。
 さて、もうひとつ非常に大事なことがあります。現在我々は「生活習慣病を防ぐために、コレステロールを減らしなさい、お肉は食べないようにしなさい、甘いものは取らないようにしなさい。」と言っています。ところが、人間の脳はエネルギー源としてブドウ糖以外を使うことはできません。脳の重量は体重の2パーセントにすぎないのに、体内全体の20パーセントのブドウ糖を消費しています。ブドウ糖が切れたら脳は一刻も働きません。植物人間になってしまいます。第二に、脳はコレステロールを非常に必要としています。なぜかというと、脳は電流を流していますから、漏電すると困るわけです。脂肪は電流を通しませんから、神経細胞は脂肪に取り囲まれています。第三に、身体の中にはアミノ酸のひとつであるトリプトファンというのがあります。これは我々の身体で作ることはできないため、食べ物から摂取しなければなりません。植物の中にはあまり無くて、お肉とかお魚でもいいのですけど、このトリプトファンがうつ病の薬のセロトニンとなる訳です。だから、実は今問題になっているのですが、普通の生活から菜食に変えた人は、非常にうつ病が多いのですね。つまり、脳は栄養を必要としているのです。だから余り栄養を取らないようにして生活習慣病のことを考えていると脳が栄養失調になってしまう。お肉とかお魚を採らないと血液のトリプトファンが急速に減っていくのですけれど、これが非常に減ると、我々の気分がなんとなく憂鬱になるのですね。ですから、無理にたくさん摂ることはないですが、過度に減らしてはいけません。
 それから、コレストロールが非常に下がってくるとお年寄りはボケやすくなってきます。先ほどいいましたように高すぎてはいけませんが、我々のコレステロールは神経の周りを守っている絶縁体なんです。ですからある程度のコレステロールを摂る事は非常に大事なのです。もうひとつの証拠に、女性ホルモン(エストロゲン)はコレステロールからできていることをご存知ですか。今女性の平均寿命は84歳、男性は78歳、なぜ女性のほうが長生きかというと、これは女性ホルモンがあるからなのです。このエストロゲンが高い人はボケにくいんですよ。現在ボケの治療法にホルモン補充療法でエストロゲンを使用していますが、最近そのエストロゲンを使うと癌が増えると言われています。ですから、薬を飲むのではなく、その女性ホルモンを身体の中で作ればいいのです。男性にも女性ホルモンが女性の3分の1ぐらいあります。年を取ると女性ホルモンができにくくなります。ですからいつでも若々しくしている、刺激ある環境でいるということが大切です。だから我々は引きこもったりしないで、新しい音楽を聴く、演劇を観る、ダンスをする。皆で一緒になって身体を動かすことは非常にいいのですね。ちなみに申しますが、雑談は全然だめなのですね。
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