大学をまちづくりの中心に ―リカレント教育がつくりだす人の循環― 
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「ひと循環型社会支援機構」の構想


 自分が生きていることを、横の広がりや縦のつながりで考えて、自分の存在を実感したいと願っているシニア達が、行く場所を失っています。また、子どもたちも自分が生きている意味、さらには自分がこの世に生まれてきてよかったのかどうかが、わからなくなっています。働きざかりの男性も、自分の仕事の意味がわからなくなり、働いている女性も主婦も、同じく自分の存在感の薄さに苦しんでいます。しかも、社会は定常型社会にむかい、これまでの価値観が通用しなくなっています。人々すべての生き方が改めて問われる社会がやってきたのです。そこで始まったのが、「ひと循環型社会支援機構」という産学共同プロジェクトです。私の研究室が中心に、銀行、広告代理店の2社と組んで、国立大学がもっている共同研究のスキーム(計画)を使いました。そして、委託研究費を少し入れていただくことによって、名古屋大学とその企業が一つの事業を合同に行っている形をとり、社会的なアピールをしていくもので、事業体ではありません。この共同研究のスキームは、いろいろな企業が参加できるようにオープンにしてあります。趣旨を共有していただきながらその趣旨に賛同される形で、できるものを提供していただく。そして、こちらから知的資源、人材を提供して、セミナー事業を中心にしながら人々をまちに引き出し、人々の関係を新たに結びながら、人々がいきいきと生きられる社会の仕組みを作ろうというのが、この「ひと循環型社会支援機構」の一つの考え方です。

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