大学をまちづくりの中心に ―リカレント教育がつくりだす人の循環― 
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新しいまちづくり運動―TMOの活動―


 こうした社会の第一線を退いて、新しい第2の人生を歩みはじめた人々は、もともと地元の商店街などで、関係を作る場所をもっていたはずです。
 例えば、愛知県刈谷市で、私たちは「いきいき刈谷プロジェクト」というセミナーを中心にした産学連携事業を行っています。
TMOの活動
「いきいき刈谷セミナー」会場案内
 私も刈谷市出身ですが、子どもの頃、銀座通り商店街が遊び場でした。商店街は、大人の目があり、叱られる場所だからこそ、安心して遊べる遊び場なのです。今、どこの都市計画公園も人が集まらないのは、実は人の目がなくて危ないからです。逆に人が集まって、大人の目があるところに、子どもは遊びに行きたいのです。
 その街で私たちはいろいろ経験をしました。私たち子どもは10円を握って買い物に行く、シニアの方々も毎日買い物かごを下げて、井戸端会議に来る、そうした人間関係がある場所が商店街でした。
 その意味では、商店街は非常に強いアメニティー機能、人間関係を結ぶ、そして今の言葉で言えば、癒しの空間として存在していました。その人間関係の中で物が売れていたのです。けれども、郊外型の大型スーパーができることによって、地域の商店街が潰れています。刈谷の商店街も壊滅状態です。
 「いきいき刈谷プロジェクト」は、地元商店街で物を買わなくても、人に集まってもらいたい、そしてその人たちに、新しいアメニティー機能をもったまちを作ってもらえないかとの思いで始まった、セミナーを中心としたプロジェクトです。このプロジェクトは、刈谷市のTMO策定委員会が関わり、私の研究室と刈谷商工会議所との産学連携事業として進められています。セミナー参加者やお世話いただいた市民の方々から、商店街再生のための自主的な動きが出始めています。
※TMO(Town Management Organization)タウン・マネージメント・オーガニゼーション

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