大学をまちづくりの中心に ―リカレント教育がつくりだす人の循環― 
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信頼感と安心が欠如した社会


  高齢化が進展し、定常型というこれ以上規模が拡大しない社会が到来しているのですが、実はその基盤となるべき市場社会が信頼度を落としてしまっています。例えば狂牛病問題や食品関係企業のいろいろな不正事件により、私たちの生活基盤である市場そのものに対して、信用がおけないという感覚が入り込んでいます。
 今の政策はむしろそれをあおっており、不安を解消するためにお金で信頼や保障を買う方向に動いているのです。しかし、国民は、不安だからお金を残しておくという行動をとっています。それが更に市場を暗くし、企業に跳ね返っている形になっています。むしろそうではない、信頼感、安心感をベースに、安心してモノが買えて、しかも自分の欲しいモノがそこにある社会、更に欲しいものを提案しながら、それが商品化されていく社会がこれから作られていくのではないかという事です。
 その中で緊急に何とかしなければならない課題は、これから定年退職者がたくさん出てくること、そして、ここ数年急速に進展しているリストラ社会です。
 日本は、年間3万2千人ぐらいの方が自殺をしてしまう社会です。1998年から前年比約8千人の増加で、その後高原状態が続いているのです。増加したほとんどがリストラ自殺であると言われています。このリストラ自殺は、お金が問題ではなく、彼らは社会、会社からいらないと言われることによって、自らの社会的意味、過去の人生全てが否定されてしまったと感じているのです。
 この社会の一面を何とかしなければいけないのではないかと思います。
 人々が一つの価値を追い求めていくこれまでのような社会ではなくて、今の生活をベースにしながら、もう少し自分が何をしたいのか、又どうすると幸せに感じられるのかを考えながら、単に趣味ではなくて、生活の糧を得ることにつながる仕組みを考える必要があるのではないかということなのです。

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