大学をまちづくりの中心に ―リカレント教育がつくりだす人の循環― 
もどる  目次へ  すすむ  
新しい時代へ―定常化社会の到来―


 これからは、人口が増えない、それでいて高齢者人口が増えていく社会になります。従来のように市場が拡大していくことを前提にした社会システムは機能しなくなるだろうと考えられています。
 また、子どもや学生達がどんどん減少して、大学の経営は大変だという話になるわけですが、このような社会を「定常型社会」と言います。つまり、人口が増加し、市場が拡大し、経済が成長する社会ではなくなるということです。それはGDP、つまり量で国の豊かさを計る社会ではなくなるということです。物を作って売る、そして経済が拡大する社会ではなくて、むしろ拡大しないことを前提に、いかに社会システムを作っていくかが課題になる社会になるのではないかということになります。
 その中で、問われているのが、量を拡大するのではなくて、質を高める、または生活の利便性をこれ以上追及するのではなくて、違うものに価値を見出すような社会、そしてそれが、経済活動になるような社会がこれから求められていくのではないかということです。実はこれは、どの社会も経験がないので、どのような形になるのかわからないのが実態です。その中で日本が、新しい社会を作らなければいけない状況になっています。
 従来のように学校に入学して進学競争、そしていい大学、いい企業に入る、いわゆるお金が手に入る生活が良いと言うことではなくて、むしろ自分達がそこで何をすると「幸せ」に感じられるのかということを問い続けながら、自分の人生を常に再構築できる社会を目指すべきではないのか。それがリカレント社会または生涯学習の社会になり、自らの生活が成立していくような仕組みを考えることにつながるのではないかと考えられています。

もどる  目次へ  すすむ