国際化と人権 
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第2部 北欧の高齢者福祉―福祉に対する日本と北欧の考え方の違い―

高福祉国家スウェーデン

 次は、スウェーデンの話です。北欧の中でも特にスウェーデンの社会福祉を、われわれはすごく参考にしています。先進国の中でも高福祉国家といわれるスウェーデンのことを簡単に紹介させていただきたいと思います。
 まず、なぜスウェーデンで福祉がこれだけ発展したかという理由を簡単に説明します。一番大きな理由は、スウェーデンの場合、第一次世界大戦と第二次世界大戦のときに中立だったということです。ですから、戦後の復興については、スウェーデンは無傷だったんですね。実際に自分の国を復興するために、日本のような莫大な戦後の努力というのを、特にする必要がなかった。なおかつ他の国が復興している間に、様々に物資を提供して、儲けたわけです。すごく莫大な富を蓄財したといわれています。それがまず1番目に挙げられます。2番目としては、ではその巨額の富をどのように使おうかという政治的判断、特にその中でも、社会民主主義労働党という党が、そのお金を福祉に使おうという判断をした。政治の方向が、道路を造るとか橋を造るということではなくて、福祉に対して向いていたということです。
 その他にバックグラウンドとしては、スウェーデンも含むヨーロッパは昔から、教区という教会の区が中心になって、助け合いの精神が非常に発展していました。そういう助け合いの精神、キリスト教精神に基づく地方自治という基盤があったといわれています。それから、「スウェーデンモデル」などというように、ある意味で資本主義と社会主義がミックスされた制度がすごくうまくいったということが背景にあります。経済的な発展は資本主義の原理で、医療とか年金は国が保障する社会主義体制のような原理ということです。

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