国際化と人権 
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国際協力とNGO


 社会福祉の国際協力というものがあります。ただ、食べるための援助だけではなくて、「人間らしい」生活を営むため、「基本的人間ニーズ」(Basic Human Needs)を保障するための国際協力を、ということなんです。
 援助の仕方は大きく分けて、政府レベルで行う援助(ODA)と、民間で行う援助(NGO)があります。さっき私が紹介させていただいた難民の障害児に関する援助は、NGOになります。ODAとNGOは別に対立するものではなくて、お互いに「両輪」といわれています。一長一短があって、ODAというのはある程度予算が決まっていますから、機動性が悪い。NGOの場合は、緊急に何かあったときとか、現地のプロジェクトを変更したいときとかに、小回りがきく。そのかわり援助の規模はそれほど大きくないということです。ヨーロッパあたりでは、NGOもすごく大きな援助になってきましたけれども、日本ではまだまだNGOが育っていないと言われています。日本のNGOの一番の問題点は資金です。ヨーロッパのNGOが大きなプロジェクトを展開できるのは、やはり資金が集まるからです。集まるのはどこからかというと、やはり一人ひとりから集まるわけです。ところが、日本の場合はそれほど集まらないということは、一つには関心の問題があるのではないかと思います。
 ある国連のポスターにこういう言葉がありました。「愛の反対語は何か」と。これは「憎しみではなくて無関心である」ということが書いてありました。その無関心さというのが結局、組織を育てなくなるということにつながっていくのかなと思います。実際に私がやっている会でも、一応プロジェクトは数年で終わりましたので、今何をやっているかというと、例えば写真展をするとか、そういうことになります。実際そういう援助をたくさんやることによって、自分が苦しくなったのでは本末転倒してしまうということから、細く長く、関心を持ちつづけるというように活動しています。

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