多くの種類がある身体障害、原因がわからないことも多い知的障害 
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法の対象外の障害


 今まで話したのは、法の対象になっている障害についてです。障害の中には、法の対象になっていないものもあります。法の対象になっていないということは、身体障害者手帳とか療育手帳の対象にはならないということです。福祉サービスは今のところ手帳を基準にして考えていますので、手帳を持っていない方は、福祉サービスは受けられないことになっています。また、地域差があって、名古屋市に住んでいる方は、市営地下鉄・バスのフリーパスがもらえる場合もありますが、例えば長久手町に住んでいて、市営地下鉄などを使う人でも、長久手町に住民票がある限りは、その恩恵には当たれません。それが現実です。だから、身障手帳を持っていても、どこに住んでいるかということで、受けられるサービスが違ってくるという実情もあります。
 ただ、「法の対象外」の障害、例えば、脳外傷や脳卒中の結果起こる「高次脳機能障害」は、記憶、思考、情緒などの機能低下をもたらすのですが、これでは身体障害者手帳はもらえないのです。体はぴんぴんしているので、思考だけとか記憶だけの障害では、今のところもらえないのです。でも、ひどい方は本当に、ちょっとパーティ等で席を立ったときにもう自分の席に戻れないくらい、記憶の障害が重い方もいるのですが、対象にならないのです。
 また最近、新聞等にも出ていますが、高機能自閉症(アスペルガー症候群)という障害があります。これは、知能は正常ですけれども、対人関係に問題があるのです。知能が正常なものですから、知的障害の判断基準になる、知能検査には引っかかりませんので、療育手帳の対象にはならないのです。
 また「学習障害(LD)」は、知的発達に遅れはありません。ただし、聞く、話す、読む、書く、計算するといった特定の何かが不得意なのです。それなりに問題はあるのですが、さきほどの判断基準の知能検査には引っかからないものですから、手帳の対象にはならない。ならないからサービスが受けられないということになってしまっているんです。
 「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」というのも最近新聞等によく出てきて、簡単に言えばいわゆる落ち着きのない子のことですが、これも今のところ手帳の対象になりません。

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