多くの種類がある身体障害、原因がわからないことが多い知的障害 
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様々な種類のある身体障害


 身体障害者障害程度等級表という資料を別にお配りしていると思いますが、それが身体障害者手帳の判断基準です。タイトルに書きました、身体障害はとても種類が多いということの例です。表を横に見ていくと、「視覚障害」、「聴覚障害」、「平衡機能障害」、「音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害」とあります。それから“肢体不自由”という区分の中に、「上肢」、「下肢」、「体幹」、「乳幼児期の非進行性の脳病変による運動機能障害」というのがあります。次のひとくくりを“内部障害“と総称していまして「心臓機能障害」、「じん臓機能障害」、「呼吸器機能障害」、「ぼうこう又は直腸の機能障害」、「小腸機能障害」、最後は「人免疫不全ウイルスによる免疫機能障害」、いわゆるエイズですね。エイズも手帳に入っています。
 障害には、1級から7級までの等級がありまして、1級が一番、程度の重いものになります。福祉サービスの対象は1級から6級までになります。
 このように、障害にもいろいろ種類はあるのです。
 その中で、「視覚障害」の人は、全体の10.4%くらい、今全国で約31万人いらっしゃいます。それから、「聴覚障害」、「平衡機能障害」、「音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害」の方は、合わせて11.9%、約35万人。それから「肢体不自由」が一番多くて、56.5%、約166万人。内部障害が21.2%、約62万人といういう割合になっています。だから半分以上が肢体不自由なんです。
 私が専門としている「聴覚」というのは、全体から見ると、とてもマイナーな障害です。多くの方はやはり障害というと、イメージするのは肢体不自由(体が不自由な方)だと思うのですけれども、このようにバラエティに富んでいるのが身体障害だということです。
 次に1級から7級のところを見ていきます。視覚障害の1級のところを見ると、「矯正視力(眼鏡をかけて矯正をしたときの視力)の、右眼と左眼の和が0.01以下のもの」が1級で、一番程度が重い。全盲という、全然明るさもわからない人もいらっしゃるし、明るさ・暗さはわかる方もいらっしゃれば、指数弁といって、目の前に出された指の数を判別できる方もいらっしゃいます。そのようにいろいろな程度があるのですが、その方たちはだいたい1級なんです。
 次に耳の場合は、1級がなくて、最高は2級です。これは両耳の聴力レベルが、それぞれ100デシベル以上のものということになります。100デシベルというのはどのくらいの大きさかというと、耳元で怒鳴っても100デシベルにはなかなかなりません。電車が通っている高架下が110から120デシベルくらい、飛行機のごう音が120デシベルくらいですね。中には、補聴器をしなければあのくらいの音もまったくわからないという方もいらっしゃいます。視覚障害と違うのは、聴覚障害は、補聴器をつけたときの耳の聞こえではなくて、いわゆる裸耳、裸の状態の耳の聞こえの程度で等級を決めているのです。耳の場合は1級と5級はありません。
 次に、音声機能のところは、「機能の喪失」というのが3級にあたります。それから、「著しい障害」というのが4級になって、3級と4級しかないのです。このように障害によって等級の決め方は異なり、すべての級があるわけではないのです。
 この表の他にも、「身体障害認定基準」というのを、障害の等級を判定する医師が持っています。例えば「言語機能の喪失」というところでは、「家庭内の日常生活活動が著しく障害される」ということが、喪失に相当しまして、「家庭において家族又は肉親との会話の用をなさない」こういう説明がついています。こういう状態が3級になるということです。4級とどこが違うかというと、「家族又は肉親との会話は可能であるが、家庭周辺において他人にはほとんど用をなさない」と、「身体障害認定基準」には書いてあります。その他、エイズに関しても検査データが、きちっと決まっています。それに基づいて、医師が等級を判定するわけです。

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