死にゆく患者の心に聴くーターミナルケアと人間理解ー 
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おわりに

柏木先生
 最後に、私、いつも一般への方の講演のときに、2つお勧めをして話を終わることにしています。それは、誕生日に死を思い、結婚記念日にがんを語りあうということなんです。ちよっと変な勧めかもわかりませんが、この世に生を受けたものは、必ず死を迎えます。ですから年に一度くらい、自分の死をしっかり思ってもいいですね。死を準備するということを誕生日にされたらいいと思います。
 結婚記念日にがんを語り合うというのは、今は、二人に一人ががんになるんです。三人に一人はがんで死にます。どっちかががんになる確率は非常に高いし、どっちかががんで死ぬ確率は非常に高い。夫婦で、がんになったときに病名の告知をどうするか、どの辺まで闘うか、死ぬのは家がいいか病院がいいか、ホスピスを選ぶか、選ぶとしたらどこのホスピスがいいか、というような、とにかく具体的にがんについて語り合うということを、ぜひ結婚記念日にされたらいいですね。
 誕生日に死を思い、結婚記念日にがんを語りあう。ぜひ、実行していただきたいと思います。ご静聴ありがとうございました。

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