現代哲学からのアプローチ・・・「グローバル化する現代と伝統文化」 
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モダニティーの本質的特徴


デカルト

デカルトによる哲学の4つの規則
 まず、モダニティー(現代性)。現代人のメンタルなあり方の本質的な特徴です。
 そもそも、現代において人々は自らの行為を自覚して反省し、自らのなした行為とその影響に関して責任を負う能力がある、あるいは理念的な意味で負わなければならない存在として生活しています。これは道徳的責任と法的責任の主体としての個人が、自分の行為に対して、絶えず反省的にモニタリングしていることです。これはデカルト以来の近世ヨーロッパの考え方ですが、自分の行為の意味を、あるいは自らの存在の意味を自分自身で探し求めて、それぞれの仕方で自分の物語を作り上げているのが、近代の人間の特徴です。例えば、特定の宗教観の中で自分を位置づけることも可能ですが、それを無批判的に受け取るシステムにはなっていません。宗教的なものを信じるにしても、それは自覚的に自分で選び取ることになるのです。
キルケゴール

キルケゴールの『実存』の三段階
 確かに、すべての人間が自らの存在意味を明確に把握し、確固とした自覚の上に生活を送っているわけではありません。しかし、自分の存在の意味を全く喪失したまま現代を生きることは、ある意味では難しく、意味を失った生活になるでしょう。我々は何らかの形で自分たちの存在の根拠と意味を「自分自身」で探さなければいけない状況におかれているのです。自分自身に対する要求、あるいは自分の存在の意味、つまり「実存的意味」を失うということを、キルケゴールは「死の病」と表し、最も深刻な不安に陥るとしました。何らかの形で、物語としての自分の存在を確認することが、現代の特徴ではないかと思います。それがないと、いわゆる「実存的」不安に陥るのです。

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