令和4年度愛知県民俗芸能大会〜あま市大会〜

 愛知県では、県内に伝承されている民俗芸能を公開し、県民の皆様にその鑑賞を通して民俗芸能を始めとした伝統文化に対する理解と認識を深めていただき、無形民俗文化財等の保存・伝承を図っていくため、愛知県民俗芸能大会を開催しています。

<開催日> 令和4(2022)年10月9日(日)
<場 所> あま市美和文化会館
<主 催> 愛知県  あま市・あま市教育委員会

ちりゅうのだしぶんらく
知立の山車文楽・・・平成2(1990)年3月29日 国指定重要無形民俗文化財

 知立の山車文楽は知立まつりの本祭(隔年)で奉納され、山車の上で太夫の語りと三味線に合わせて三人遣いの人形浄瑠璃芝居を演じる珍しい芸能です。知立神社の祭礼で山車が初めて奉納されたのは承応2(1653)年からだと伝わり、現在の山車文楽につながる人形芸能は延享2(1745)年から始まったといいます。その後、宝暦11(1761)年には一体の人形を三人で操る三人遣いとなりました。
 平成2(1990)年に「知立の山車文楽とからくり」として国指定重要無形民俗文化財に指定され、平成28(2016)年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。
 今回上演する「二人三番叟」は、天下泰平・五穀豊穣の祈願をこめた儀式曲として最初に上演され、舞台を清める意味を持つ能の「翁」の一部を義太夫に直したものです。三番叟の踊りのしぐさが滑稽で楽しく、笑いを誘います。

<出演団体> 知立山車文楽保存会 中新町人形連(知立市上重原町)
<上  演> 知立神社及びその周辺(5月2日、3日(隔年))


かぐらだいこ、よめじし
神楽太鼓、嫁獅子・・・令和2(2020)年12月10日 町指定無形民俗文化財

 江戸時代より、尾張西部の農村地帯では、秋祭りに五穀豊穣と住民の安全を願い、村々から神楽を引き出し競い合って太鼓を打ち鳴らす風習がありました。
 神楽とは一般的には、無形の芸能を示すことが多いですが、この地方では神楽舞の獅子カブ(頭)を納める神楽台そのものも神楽と言います。神楽台には神明造り風の神輿に似た屋形が置かれ、そこには余す所なく獅子や龍の彫刻が施されており、また全体に金箔が施されています。この神楽には長胴太鼓の皮をきつく張った太鼓と締め太鼓が置かれており、これを打ち分け演奏します。また御拝殿にて、神事の時に「嫁獅子」「わたよせ」「神来舞」等が奉納演奏されます。これら尾張地方の神楽太鼓打法の特色は、バチを飛ばしたり回したりするところにあり、全国各地でその技は絶賛されています。今回は「屋形神楽」「嫁獅子」「神楽揃え」「わたよせ」「神来舞」の5曲を演奏します。

<出演団体> 大治太鼓保存会(海部郡大治町大字三本木)
<上  演> 各地域の神社(春祭り・秋祭り)


かぐら
神楽・・・平成17(2005)年4月1日 町指定無形文化財

 約250年程前より継承されていると言われている豊山町無形文化財の神楽保存会です。毎年、地元の八所神社にて、厄除け神事、輪くぐり、秋祭りの祭礼等で演奏をさせていただいております。
 神楽には御拝殿にて演奏する神前神楽と、山車を曳きながら演奏する道行き神楽があります。それぞれ7曲ほどありますが、本日は神前神楽の「剣の舞い」「天狗の舞い」2曲と道行神楽の「六本くずし」「八ツ拍子」「高山」「新道行」4曲を演奏させていただきますので宜しくお願いいたします。毎週木曜日の夜7時30分より、町の供用施設にて練習をしております。以前は小学生や母親の方も会員でしたが、現在、会員は9名で、老人ばかりになっております。まさに伝統芸能の継承が途絶えようとしているところです。 大変、危機感を持っています。新型コロナウイルスがもう少し収まったら、孫一同にも教えようと思っています。

<出演団体> 神楽保存会(西春日井郡豊山町豊場)
<上  演> 八所神社(2月頃、7月頃、10月10日)


ふくろくじゅしゃのおはやし
福禄寿車のお囃子・・・平成26(2014)年3月31日 市指定無形民俗文化財

 江戸時代、名古屋には東照宮祭、天王祭、若宮祭があり名古屋三大祭と言われていました。若宮祭には7輌の山車が奉曳されていましたが、先の太平洋戦争によりそのほとんどが焼失し、奇跡的に焼失を免れ、現在、現地で奉曳されているのは唯一福禄寿車だけです。若宮祭では1674年から山車の奉曳が始まり、福禄寿車は1676年から当時の大久保見町より奉曳され、現在では氏子町内、保存会、協力者の尽力により、5月の若宮祭、10月の名古屋まつりに奉曳されています。
 福禄寿車の囃子は、山車の奉曳時、からくり人形の演舞時に山車の内部で演奏され、基本は能の一部を簡易に編曲したものですが、複数の曲や専用の曲を組み込んだものもあります。使用する楽器も能にならい、大鼓を大太鼓に変更した以外は、能管、太鼓、小鼓の構成になっており、曲により摺鉦が加わります。演奏では笛は名古屋を地盤とする藤田流の流れを汲んでいます。

<出演団体> 若宮八幡社福禄寿車山車保存会(名古屋市中区栄)
<上  演> 若宮八幡社(5月15日、16日)


やたまんざい
矢田万歳・・・平成9(1997)年3月26日 市指定無形民俗文化財

 尾張万歳は、鎌倉時代に長母寺の無住国師が農民に千秋萬歳を教えたのが始まりです。万歳は、知多市八幡、その後、矢田 (常滑市)に伝えられ、この芸を携え、農民が農閑期に門付けに回って生計を立てていました。その後、矢田万歳は伝承文化としてではなく、完全に芸能として矢田地区という限定地域に保存伝承されていきました。矢田万歳の特徴は、衣装が派手で白塗りの化粧をし、「門付万歳・御殿万歳・三曲万歳」を披露しているところです。今回披露する御殿万歳は、「鶴は千年、亀は万年」という台詞から始まり、おめでたい言葉が続きます。前半は、柱を立て御殿をつくる場面、後半は、門が開き、次々と七福神がやってきて、鼓の音に合わせて面白い仕草で舞いながら「エヘヘ、オホホ、エヘ、オホ」と笑い、皆様に福を呼び込みます。

<出演団体> 矢田万歳保存会(常滑市金山)
<上  演> 矢田の八幡神社(4月第2日曜日午後)


じもくじせっきょうげんじぶし
甚目寺説教源氏節

 説教源氏節人形芝居は、江戸時代後期から昭和にかけて人気を博した芸能です。甚目寺説教源氏節は6代目家元の死去とともに一度は絶えてしまいましたが、1988年の世界人形劇フェスティバルをきっかけにもくもく座が再創造に取り組み現在に至ります。本日は4代目家元岡本美寿清太夫が最も得意とした演目を新作復刻として上演いたします。
「国分寺家探しの段」 あらすじ
 不思議な仙人に教えられ、国分寺にたどり着いた対王丸は、そこの聖にかくまってくれるよう嘆願します。不憫に思った聖は、対王丸をつづらの中に隠し、それを天井につるしました。そこへ逃げた対王丸を追って三庄太夫と三郎があらわれ、つづらを怪しみ、開けようとします。その瞬間、地蔵尊の霊験によってつづらから、まばゆいばかりの光が発せられ、二人は目を射られ、天井から転げ落ち、 昏倒します。こうして対王丸は地蔵尊の霊験と聖の助けにより都へ向かうのでした。

<出演団体> 甚目寺説教源氏節もくもく座(あま市甚目寺)
<上  演> 不定期的

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