令和元年度愛知県民俗芸能大会〜東海市大会〜

 愛知県教育委員会では、無形民俗文化財の指定・未指定を問わず愛知県内に伝承されている民俗芸能を公開し、その鑑賞を通して民俗芸能をはじめとした伝統文化に対する理解と認識を深め、民俗芸能の保存・伝承を図るため、昭和48年度から愛知県民俗芸能大会を開催しています。

<開催日> 令和元年9月1日(日)
<場 所> 東海市芸術劇場
<主 催> 愛知県教育委員会  東海市・東海市教育委員会

かぐらだいこ
神楽太鼓

 江戸時代より、尾張地方の農村地帯では、秋祭りに五穀豊穣と住民の安全を願い、村々から神楽を引き出し競い合って太鼓を打ち鳴らす風習がありました。神楽とは一般的には、無形の芸能を示すことが多いですが、この地方では神楽舞用の獅子頭(カブ)を納める神楽台そのものも神楽ともいいます。神楽台には神明造り風の神輿に似た屋形が置かれ、そこには余すところなく獅子や龍の彫刻が施されており、また全体に金箔が施されています。この神楽には長胴太鼓の皮をキツく張った太鼓と締め太鼓が置かれており、これを打ち分け演奏します。また御拝殿にて神事のときに「巫女神楽」「わたよせ」「神来舞」「嫁獅子」などが奉納演奏されます。これら尾張地方の神楽太鼓打法の特色として、バチを飛ばしたり回したりするところにあり、全国各地でその技は絶賛されています。今回は「屋形神楽」「巫女神楽」「神楽揃え」「わたよせ」「森津」「神来舞」の6曲を演奏します。


<出演団体> 大治太鼓保存会(海部郡大治町大字三本木)
<上  演> 各地域の神社(春祭り・秋祭り)


みかわまんざい
三河万歳・・・平成7.12.26 国指定重要無形民俗文化財

 万歳とは家々を訪問し、その家の繁栄や家族の健康などを祈る詞を述べる祝福芸です。
 安城に万歳が伝えられたのは、尾張国熱田薬師寺の僧玄海が、応仁の乱を逃れ、現在の安城市東別所町・西別所町へ移ったとき、人々に国家安泰・五穀豊穣を祈る「礼楽舞」を教えたのが始まりと伝えられています。
 江戸時代には、将軍家はじめ諸大名の保護を受け、隆盛を極めていきました。中でも元旦の江戸城内をはじめ大名屋敷で舞うことができたほか、関東十七か国の巡回の権利を得て、関東地方一帯に旦那場を広げるなど、万歳といえば三河万歳のことを指すほどとなりました。
 伝承演目には、神道三河万歳、三河御殿万歳、三曲万歳の三種類があり、総じてゆっくりとした祝言性の強い祝福芸で、万歳の古い形式をよく伝えています。
 本日は神道三河万歳を、保存会の皆様に演じていただきます。

<出演団体> 安城の三河万歳保存会(安城市榎前町)
<上  演> 年間を通して各所公演


やまなかはちまんぐうでんでんがっさり
山中八幡宮デンデンガッサリ・・・昭和47.7.5 市指定無形民俗文化財

 デンデンガッサリは、室町時代大永年間のおよそ500年前から伝わる五穀豊穣を願っての御田植神事です。毎年1月3日午後2時から山中八幡宮の拝殿で執り行われています。
 構成は、前歌と後歌、せりふ、所作からなっています。内容は、田をこね稲を植えて、刈り取った稲を牛の背に乗せて、家まで運ぶ途中、あまりにも豊作で牛が倒れてしまうという年間の農作業を表現する構成で、牛が倒れるところがクライマックスとなっております。また、デンデンガッサリは、所作や器物を使わず、歌詞の中で巧みに性を表現するという珍しい形式をとり、これは、東海地方の田遊び・田楽の中でも異色の存在です。
 デンデンガッサリは、昭和47年7月5日に岡崎市指定無形民俗文化財となりました。
 これからもこの伝統文化財をデンデンガッサリ保存会として大切に引き継いでいきたいと思っています。

<出演団体> 山中八幡宮デンデンガッサリ保存会(岡崎市舞木町)
<上  演> 山中八幡宮(1月3日)


もろわのはやしたいこ
諸輪の囃子太鼓・・・昭和54.5.21 町指定無形民俗文化財

 東郷町の無形民俗文化財に指定されている諸輪囃子太鼓は、300年続く伝統芸能です。諸輪の囃子太鼓は、上組、下組、林組の3つに分かれ、上組・林組は豊田の古瀬間より伝えられた大岡流で、下組は100年ほど時を経て三好新屋より伝えられた富永流とされています。祭ではそれぞれの組が合戦的に打ち合い、競い合うことで太鼓の技術が大きく発展したことが特徴です。
 最も隆盛だったのは大正から昭和初期にかけてで、大正時代に林組の囃子台が、昭和4年に上組の囃子台が、昭和12年に下組の囃子台がそれぞれ作られました。
 昭和45年に保存会が設立され、上、下、林の3組を統合、昭和54年に東郷町指定無形民俗文化財に指定されました。
 戦前までは、大太鼓、小太鼓、笛の三拍子でしたが、小太鼓の技術の発展により次第に笛の伝承が途絶え、現在では大太鼓1名と小太鼓2名で演奏するスタイルで継承されています。
 現在伝承されている曲は、あられ、中しぐれ、宮しぐれ、新しぐれ、くずし、あられ新、祇園しゃぎり、笛しゃぎり、小しゃぎり、大しゃぎりの10曲です。
 毎年夏の白鳥神社天王祭礼及び観音祭礼では、保存会員の演奏による囃子太鼓の奉納を行っています。

<出演団体> 諸輪囃子太鼓保存会(愛知郡東郷町大字諸輪)
<上  演> 東郷町伝統文化発表会(1月下旬)


ふじえのだんつくししまい
藤江のだんつく獅子舞・・・平成24.1.17 県指定無形民俗文化財

 だんつく獅子舞は、知多郡東浦町藤江に伝わる一人立ち獅子舞で毎年、10月第2日曜日の藤江神社祭礼に奉納される舞です。
 由来は定かではありませんが、今から350年ほど前まで大府市の藤井神社で奉納されていたものを譲り受け現在に至っています。享保7年(1722年)の修理記録の墨書きが古面裏に残されており、290年以上前から藤江神社に伝承されているのは明らかです。舞楽は三幕で構成されており、昔、出雲国で八岐大蛇を退治した神話を万葉調に表現したものと伝えられています。また、この知多半島は昭和36年に愛知用水ができるまで時折、大干ばつに悩まされ、だんつくを舞って雨乞いをしたともいわれています。
 本日は三幕の中の一つ「隠獅子」をご覧いただきます。雌獅子が子獅子たちに乳を飲ませる場面など子獅子たちのかわいい素振りにも注目していただきたいと思います。

<出演団体> 藤江神社 八ッ頭舞楽保存会(知多郡東浦町大字藤江)
<上  演> 藤江神社(10月第2日曜日)


ごてんまんざい
御殿万歳

 東海市の万歳は尾張万歳と三河万歳の流れをくんで現在の形となっています。
 尾張万歳は鎌倉時代の後期、現在の名古屋市東区にあった長母寺に起源があり、当時、長母寺領であった現在の東海市などへ伝わったとされています。三河万歳は尾張二代藩主徳川光友公が高横須賀の地に横須賀御殿を造営した際、現在の安城市などにいた陰陽師たちが移住してきて伝えられたとされています。
 御殿万歳は「陰陽。鶴は千年、亀は万年・・・」で始まり、家を建てるときの大切な柱一本一本に神様をお迎えして家を建て、正月の飾り物を置いて御門を開けると七福神が舞い込むという大変おめでたい内容です。正月には御殿万歳の鼓の音を合図に門を開く大名屋敷も多かったといわれています。
 今年は東海市万歳保存会結成50周年、御殿万歳が市指定無形民俗文化財に指定されて50年周年というめでたい年を迎えます。

<出演団体> 東海市万歳保存会(東海市加木屋町)
<上  演> 本郷熊野神社(1月1日)

「動画再生」をクリックすると動画が再生されます。
※なお、通信回線の状況により再生がうまく出来ないことがありますのでご了承ください。