人形浄瑠璃の公演による啓発実践



甚目寺説教源氏節「久寿の葉」の公演を通した、弱者を思いやる心の大切さの啓発

はじめに

 昨今、子ども・女性・高齢者・障がい者等、弱者と言われている人たちへの人権侵害が問題となっており、あま市で平成22年度に実施した「人権に関する市民意識調査」においても、これらを人権に関わる重要な問題と回答した市民が多数でした。
 そこで、人権意識の基本である「弱者を思いやる心」の大切さを啓発するため、あま市にゆかりのある郷土芸能(人形浄瑠璃)の演目から人権教育につながる演目を選び、小学6年生児童の、総合学習の時間及び市内公民館での公演において啓発を行うことにしました。

あらすじ

 信田(しのだ)の森で悪人達に追われた白狐を助けた安倍保名(あべのやすな)ですが、自身も悪人達にけがを負わされます。そこに許嫁(いいなずけ)の久寿の葉が現れ、保名を介抱します。やがて二人は結ばれ、童子丸(どうじまる)という男の子が生まれ、三人は幸せに暮らしていました。ところが童子丸が5歳のとき、もう一人の久寿の葉が現れます。実は保名を介抱した久寿の葉は、保名が助けた白狐で、助けられた恩に報いるために、許嫁の久寿の葉の姿を借りたのでした。たとえ愛しい夫や我が子でも、正体を知られてはもう一緒にはいられない、と悟った久寿の葉は、歌を一首残し信田の森へ去って行きました。保名と童子丸は久寿の葉の後を追い、信田の森へと向かいます。
 信田の森に着いた二人は、やっとの思いで久寿の葉を探し出しました。戻って欲しいと願う保名でしたが、「一度この森に帰ってきたら、もう人間の世界には戻れません。童子丸は大人になれば人を助け、世を導く人になります。ですから、私の形見を授けましょう。」と久寿の葉は告げて、黄金の箱と水晶の玉を授けました。なおも別れを惜しむ二人に、久寿の葉は泣く泣く白狐の姿を見せ、未練を断ち切ろうとするのでした。

教材データ

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制作

平成27年度
愛知人権ファンクション委員会
あま市人権教育実行委員会