引用のかたち−全ての言葉は潜在的に引用されている!− 
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まとめ


 最後にまとめとして、

 ・「リアルタイムの自分の言葉の引用」というものがある。
 ・全ての言葉は、たとえ引用の形式でなくても、潜在的に引用されているのである。


 ここで、最初の著作権法の話に戻ります。最初にお話しましたように、法律で認められている「引用」とは、引用される文章が「従」で、その外側の文章が「主」でなくてはいけないというものでした。しかし「潜在的引用」というのは、それが全く反対なわけです。引用される文章が「主」で、その外側が私の「潜在的引用」と見なす考え方です。しかし、引用される文章を作った人と「潜在的引用者」は、同一人物の二つの顔ですので、法的には問題がないと思います。ご静聴ありがとうございました。

−参考文献−
『最高裁判所判例集』34-3 1980.11
中山眞彦『物語構造論:「源氏物語」とそのフランス語訳について』岩波書店1995
河野六郎『文字論』三省堂1994
『コロンビア大学現代文学・文化批評用語辞典』1995. 1998訳
『坂口安吾全集04』筑摩書房1998
時枝誠記『国語学原論』岩波書店1941
J.R.Ross,On Declarative Sentences .Readings' in English Transformational Grammar.1970
安藤貞雄・小野隆啓(著)『生成文法用語辞典』大修館書店1993
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