情報通信技術を活用した生涯学習の推進 
もどる  目次へ  すすむ  
今日の学びと課題

 学校教育を含め、教育全体の中に総合的な学習の時間が入ってきている状況があります。 知識を獲得していくことより、「学びのスタイルをどのように自分の中に培っていくか」を課題にする方向にきているのではないかと思います。 そうした背景には、いろいろな知識や技術などの陳腐化、といっても本当に陳腐化してしまうわけではないと思いますが、そういうことが非常に加速しているという事があると思います。 われわれの分野などは特にそうで、常に情報通信やコンピュータ関係などの新しい事を身に付けていく努力をしないと、すぐに様子が変わってしまうということがあります。それは世の中の変化のスピードが非常に速くなっているという事なのです。模範解答がきちんとある学習から、そういった解答のないような学習や、活力ある豊かな人生のための学習が非常に増大してくる、といったことがいわれていると思います。
  NHK人気学習行動項目調査グラフ
 最近の生涯学習では、学習の多様化、高度化が言われていますが、広域化、すなわち実施する側の体制ということも必要になると思います。このグラフは少し古いですが、NHKが昭和57年と60年に人気学習行動項目を調査したものです。
 変化の方が重要なのですが、昭和57年に比べて3年後の60年の調査で、多種多様な学習を行った人が増えているというデータが出てくるのです。従って、その多様化ということが非常に問題視されるようになってきました。
  また、過去1年間に何らかの学習をしたという人は、だいたい2人に1人で、学習を重ねていきますので、同じ事だけを繰り返すわけではありません。内容を高度化していく、積み重ねていくという事が、提供する側も含めて検討すべき事であるといわれています。その検討の中で、1地域で開催する生涯学習では限界が出てこないかという心配がありました。多様化するメニューを1市町村が全部提供することは本当にできるのでしょうか。 また、それが高度化して初級、中級、上級と分かれてくると、非常に膨大なメニューや学習機会を提供しなければならなくなります。そういうことに対する限界が危惧されていました。

  また、学ぶ側は関心事によってグループを自主的に形成していくので、その対応が問題になるのではないかという事もありました。実際には今回の「学びネットあいち」も含めて、これらに対応するために生涯学習の情報提供はどのようにあったらいいのかが検討されてきました。例えば、学習情報提供の要求に対して、学習機会や方法などいろいろな事をうまく住民に提供していこうという事が検討されてきたわけです。
 そういったことから、実際には学習ができる環境を整備していく、それから学校の教育の中でどんな力をつければいいかということも、全部リンクして動いている事になるかと思います。さらには、先程お話ししたような学習機会が増え、その機会が求められているなかで、アクセスの保証、情報提供をどうしたらいいのでしょう。また最近だとインターネット上で学習するということが話題になってきています。 大学でも公開講座などを遠隔の手法を使って、離れた所で学習することを実際に行っています。
 今後、日本の高等教育もそういうことを実施し始めることは予測されています。現実に整備をしている状況だと思います。具体的にはインターネットを利用して学習する、E−ラーニングを取り入れていこうとしています。家庭で大学の講義を受けることもできるかもしれないということになってきます。従来の通信制と通学制との境目がなくなってきていますので、そういう手段を使いながら、いくつか学びの機会を提供することもありえます。これは大学だけの問題ではなくて生涯学習の施設もお互いに、講座を一緒にやりましょうということも現実に行われてきています。こういうことがポイントになるのではないかという事です。実際に対応して、政策的にもいくつか取組まれているわけです。


もどる  目次へ  すすむ