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犬飼 隆先生 |
さらに、朝鮮半島では漢字の訓読みも行われていました。しかし、朝鮮半島では後々無くなっていきます。高麗時代にハングルが発明されますが、そのあたりを境目にして、朝鮮半島の言語はハングルで書き、漢字で書く言葉は全部音読みをして、漢語としてしか使わないように朝鮮半島ではなっていくのです。一方日本では、漢字を音で読むだけではなくて、訓でも読み、そして自分の国の単語に当てはめて読むという読み方を朝鮮半島から学び、それが定着するのです。
古代中国と日本王朝@ 中国・朝鮮からの文字受容と日本王朝行政の成立・展開 |
朝鮮半島の用字法の影響(2)―「吏読」
最後に「吏読(りとう)」についてお話をします。中国語は動詞や形容詞が活用しません。朝鮮半島の言語の活用語尾が漢字では書けないので、それをどう書くかというために作られたのが、「吏読(りとう)」です。この方法は、漢字の音読みを使って朝鮮半島の言語の発音を書くというやり方で、名前が「官吏」の「読」と書いてあるように、役人たちが文書行政で行った用字法の1つです。『三国史記』や『三国遺事』には、新羅の時代に、この方法で固有名詞を書いた記録がたくさん載っています。これが日本に伝えられて万葉仮名のお手本になり、そしてさらには仮名になっていきます。
犬飼 隆先生
さらに、朝鮮半島では漢字の訓読みも行われていました。しかし、朝鮮半島では後々無くなっていきます。高麗時代にハングルが発明されますが、そのあたりを境目にして、朝鮮半島の言語はハングルで書き、漢字で書く言葉は全部音読みをして、漢語としてしか使わないように朝鮮半島ではなっていくのです。一方日本では、漢字を音で読むだけではなくて、訓でも読み、そして自分の国の単語に当てはめて読むという読み方を朝鮮半島から学び、それが定着するのです。