新大陸の古代王朝(1) 中米古代王朝の国家宗教と政治 
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はじめに


杉山三郎先生

杉山三郎先生
 私はメキシコ、中米一帯を中心として、考古学、人類学を専門に研究しています。今回は「モンゴロイド古代王朝の宗教と政治」という、少し難しいタイトルがついています。現代では、宗教といえば民間信仰と国家宗教、例えばキリスト教、イスラム教、仏教など様々ですが、古代の民間信仰のデータを集めるのが難しく、実際どういう形で存在したのかわかりません。そのために私たちが語ることができるのが、国家という大きな集団ができて、データ収集が可能になった時代です。今回は古代の国家宗教に見られる政治との関わりに焦点をおいて見ていきます。中でも環太平洋にあるモンゴロイドの古代王朝、古代国家における宗教と政治の関わりに焦点を絞ってみたいと思います。
 話の中心は中米、メキシコの古代文明になります。複雑でいろいろな古代王朝が栄えたので、始めに少し全体の流れ、新大陸に栄えた古代王朝の概要を述べたいと思います。
 私たちは中米のメキシコ、グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドルに栄えた文明圏をメソアメリカと呼んでいます。そのメソアメリカで栄えたオルメカ、マヤ、アステカ、そして私の専門でありますテオティワカンを中心にお話ししたいと思います。


 


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