天文学への誘い、大宇宙の誕生 
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「ALMA(アルマ)」計画

福井先生
福井康雄先生
 日本全体あるいは世界のスケールで天文の学問の分野は、これからどうなるかというお話を最後にして締めくくろうと思います。日本・北アメリカ・ヨーロッパの諸国が協力して、「なんてん」と同じアタカマ砂漠に一つの巨大な電波望遠鏡を作ろうとしています。全部で10メートルちょっとという、やや大きめの精度の高い望遠鏡を80台くらい並べて、全てを電線で繋ぎます。それぞれの信号をうまく処理すると、だいたい口径が14キロメートルという大変巨大な電波望遠鏡を作ることができるのです。これが「ALMA(アルマ)」という計画で、2010年ごろに完成する予定です。何の略かというと、“tacama arge illimeter/submillimeter rray”、ミリ波とサブミリ波の非常に大きなアタカマのアレイ型の望遠鏡であるということです。「NANTEN2」の方も「ALMA(アルマ)」が動き出す前に、世界に先駆けてサブミリ波の非常に広い地図を作ろうとしています。さらに2010,11年に、この「ALMA(アルマ)」望遠鏡ができると、例えば宇宙最初の銀河がどのようにして生まれてくるのか、そういう様子が見えてくる可能性が期待できるわけです。それは光では見えません。星も光り始める前は冷たいガスであり、銀河もまさにそうなのです。宇宙最初にできた銀河というのは、まだ星が光り始めていない雲の塊で、そういうのはやはり電波で見ないとつかまえられないのです。こういう成果を2010,11年の頃にぜひ手にしたいということで、今この望遠鏡を一生懸命作っています。
 まだ科学的な手がかりはそんなにありませんが、こういった研究を通してぜひ宇宙の起源、そして銀河の起源、さらに惑星がどうやって生まれて、最終的には命の起源がどうなっているのか、そんな問題にも少しづつ近づいていきたいと思っています。

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