愛知県の歴史 (1)古代 尾張の古代社会−尾張国正税帳の世界− 
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おわりに


愛知県立大学公開講座
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 今日は「尾張国正税帳の語るもの」として簡単にお話ししてきましたが、語らないものというのが多分たくさんあります。そのさいたるものが陶磁器、陶器の負担にかかわることだと思います。正税帳のなかには全くこれが見えません。しかし、平城京で出土する土器等のなかには尾張の猿投窯のものと考えられるものが含まれていますし、大嘗祭という天皇が即位した後に行う一番大きな即位儀礼用の特別な雑器は、尾張国が負担することになっていました。さらには、伊勢の斎宮のための酒とか酢とか醤の甕などを作る国の中に、尾張は必ず含まれていました。そういった陶磁器、陶器等の作成をしていたことは確実ですが、そのことが尾張国正税帳からはうかがえないところがちょっと残念なところです。あくまでも正税帳というのは、この地域のひとつの側面を示すにすぎないものであります。しかし、正税帳などが全く残っていない他の地域に比べますと、こういったことが具体的にわかるという点では恵まれているといえるかもしれません。以上です。 
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