愛知県の歴史 (1)古代 尾張の古代社会−尾張国正税帳の世界− 
もどる  目次へ  すすむ  
はじめに


丸山裕美子先生
丸山裕美子先生
 私は日本の古代史が専門です。古代史の場合は資料が非常に少なく、そのほとんどが中央の資料ですから、どうしても中央の国家の制度や文化などの研究が中心になってしまいます。そのため、地域の古代史の話をすることは、非常に難しく限定されたものにならざるを得ないところがあります。この公開講座では、愛知県の歴史ということで古代を担当することになりましたが、幸いなことに、尾張に関しては古代史の非常に貴重な資料が残っています。おそらく最も有名なのは、988年の尾張国郡司百姓等解文と呼ばれる資料です。このように尾張国の人々が中央に提出した文書が残っていますし、さらに尾張国正税帳(しょうぜいちょう)という文書も残っています。今回は、この正税帳を使って、少しでも尾張地域の古代社会の様子を具体的にお話しできるのではないかと思っています。
もどる  目次へ  すすむ