日本古代文学から見た国際文化−額田王の歌の背景− 
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はじめに


 私は主に7〜8世紀頃の文学的な表現を専攻しています。話も文学的な表現を述べることになると思います。全体的な題は「『国際文化』グローバル化と民族アイデンティティー」です。民族アイデンティティーまでは、行きつかない部分が多いと思いますが、時代、歌を通して古い時代の人のあり方、もしかしたら古い民族アイデンティティーの問題が関わるかも知れません。
 さて、全体的に中心は額田王の歌の背景の問題です。額田王は、たいへん人気があり、様々な風評が入り乱れています。とても美人だったとか、とても魅力があったとか。それらを裏付けるものは特にありませんが、大海人皇子の歌の中で「紫草のにほへる妹」と詠まれています。言葉の上でのことで、誰かから見て美しいと言っても、その人が美しいことを保証するわけではありません。
 全体の主題である国際文化の問題の中で、彼女の歌を位置付けていくのがこれから話すことの要点です。

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