土壌生物の採取と観察
  土壌には、細菌やカビなどの微生物のほかに節足動物を中心に土壌生物と呼ばれる多種にわたる小動物が存在している。それらの生物は生態系において分解者として重要な役割を果たしているが、私たちはそれらの生物に対して理解が少ない。そこで異なる植生から土壌サンプルを集め、そこに生育する土壌動物の種類と個体数を調査した。
 さらに土壌動物の遺体や排泄物を無機の窒素化合物に分解する細菌などの土壌微生物についても理解を深めるため、市販の生ゴミ分解菌を利用してその働きを調べ、生態系における分解者としての役割を考察した。
T 植生による土壌動物の変化
 1 方法
 異なる5つの土壌、林、畑A(農薬無使用)、畑B(農薬使用)、草地、裸地から土壌サンプルを採取し、土壌生物をハンドソーティング法やペットボトルを利用した簡易ツルグレン装置を利用して採取し、分類した。
    
ハンドソーティング法による
土壌生物の採集
ツルグレン装置の
仕組み
ペットボトルを利用した
ツルグレン法
土壌サンプル採集地(林)
土壌サンプル採集地(畑A) 土壌サンプル採集地(畑B) 土壌サンプル採集地(草地) 土壌サンプル採集地(裸地)
2 結果
採取された土壌生物
アザミウマ アザミウマ
植生と季節による土壌生物の個体数の変化 ダニ クモ
3 考察
 個体数の合計は林、畑Aと草地、畑B、裸地の順で多く、裸地では何も生物が確認できなかった。このことから土壌の植生が単純と予想される土壌サンプルほど出現する個体数は減少する傾向にあった。
 また、季節別の個体数は、2月、5月、7月の順で多くなり、気温が高くなるほど植生が豊かになるためか、そこに生育する生物の種類と個体数が増加する傾向がみられた。
 以上から、植生の違い、気温の上昇に伴う植生面での環境の充実が土壌生物の種類や個体数に影響を与えていると思われた。
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