1−1 残像利用の玩具 絵を動かす試み
まず、例えば連続した絵があるとします。でも、これをいくら動かしたとしても動いているようには見えません。つまり、連続した絵が描いてあって、カンガルーとはこんなふうに、人とはこんなふうに動くのだということが1コマ1コマわかったとしても、これは普通の映画のようには動いてくれません。動かすためには1枚1枚の絵を、暗転を挟んで短時間に切り替える装置が必要になるのです。そういうものをストロボ効果といって、イギリスのファラデーが発見したのです。
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フェナキスティコープというものも古くからの玩具です。円盤の縁にぐるりと連続した動きが描かれています。一つの絵と絵の間に切り込みがはいっています。例えば猿が玉を投げている画像を動かしたいとすると、絵の描いてある面を向うにしてくるくる回して、反対側に置いてある鏡に映し、猿が映る様子をスリット(細かい隙間)を通して見ることによって、猿が見えたり隠れたりするわけです。見えなくなったりまた見えたり、パッパッと移り変わっていくものがフェナキスティコープです。
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そして、フェナキスティコープと幻灯機を組み合わせたものを、オーストリアのウハティウスという人が発明しています。これは、幻灯機で映す透明のスライドのようなものを円盤にいくつか連続して取り付けて、その間に幻灯機で光を当てると、絵が次々にスクリーンに映写されるというものだったのです。
最後に、プラキシノスコープというものです。やはり円盤の内側に連続した絵があり、中心に円筒状の鏡が取り付けられていますが、完全に丸い鏡ではなくて、各面に1コマずつ映るような鏡なのです。その鏡に映ったものを見るというのがプラキシノスコープです。