1章 インターネットの概要

 
 この章では、インターネットの歴史や仕組み、何ができるかといった基礎的な知識について学習します。
 
 
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インターネットの歴史

 インターネット(the Internet)は、1970年頃にアメリカ国防総省のARPAnetとさまざまなネットワークを接続する試みとして誕生しました。

ネットワーク構造の変化 当時のネットワークは機能集中型で構成されていたため、メインのコンピュータが壊れるとネットワーク全体が使用できなくなる恐れがありました。
 そこで考え出されたのが、ネットワークの一部が故障しても機能しつづける機能分散型のネットワーク構成(インターネット)なのです。
 インターネットとは、インター・ネットワーキング(ネットワークの相互接続)によって、離れているコンピュータ間でお互いのデータをやり取りできるネットワーク環境をいいます。

 スタート当時はアメリカ国内の4つの大学や研究機関(カリフォルニア大学ロサンゼルス校、カリフォルニア大学サンタバーバラ校、スタンフォード国際研究所、ユタ大学)とだけ結ぶのものでした。

 1970年代に入って、ネットワークの通信技術とその通信を実際に利用してデータを送受信するソフトウェア技術、LAN等のネットワーク環境の開発によって、現在のインターネットの基盤技術が整いました。

 1980年代は、軍事目的で開発されてきたインターネットが学術分野でも利用できるようになり、研究目的のネットワークとしての再スタートをする事になりました。
 1980年代中頃には、アメリカの大学や研究機関だけでなく、日本の大学(東京工業大学、慶応義塾大学、東京大学が最初)でも研究が開始されました。

 インターネットの利便性が広く理解され、1990年代に入りインターネットの商用利用が許可され、インターネットの急速な発展が始まりました。
 日本においても1992年からインターネットの接続サービスを行う会社が現われ、一般の人でもインターネットが利用できるようになりました。

 (※1:ARPAnet Advenced Research Projects Agency NETwork "アーパネット"と呼ぶ)
 (※2:LAN Local Area Network "ラン"と呼ぶ)


 
 
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インターネットのしくみ

 では、実際にインターネットがどのようにしてデータをやり取りしているのか、技術的な部分について触れてみましょう。

 インターネットは、物理的なネットワーク(回線)のつながりだけを意味する言葉ではありません。

 世界規模の統一されたネットワークに接続されており、TCP/IPという通信プロトコル(データ送受信のための通信規則)で情報をやり取りしていることが前提となります。

 プロバイダ(インターネットへの接続等のサービスを行っている専門会社)またはインターネット接続サービスを行っているパソコン通信会社等が、この世界規模で統一されたネットワークと皆さんのご自宅にあるパソコンとの橋渡し(接続)を行っているのです。

 その世界中に張り巡らされたネットワークの中を、パケット("小包"という意味)と呼ばれる単位にデータが分けられて、やり取りされています。
 情報をパケットの単位に分けてやり取りする技術は、同じ回線を多くの人が均等に効率よく利用できるようにと考え出されました。
 インターネットの利用者が膨大になった現在、ホームページを見ていてなかなか絵や文字が来ないといったケースがたまにありますが、これは一度に多くの人がアクセス(情報を取りにいくこと。ホームページ上のリンクボタンをクリックした時に発生する通信)したために、膨大なデータでネットワークが渋滞状態となり発生しているのです。

 日本中または世界中につながっているインターネットでは、ネットワークとネットワークを中継しているプロバイダ等が、バケツリレーのようにパケットを次の中継地点へと無料で渡してくれるため、格安で世界中の情報を手に入れる事ができるのです。 また中継地点では、パケットが最も速く目的地へ行けるようにと最短のネットワークを選択し、送り出してくれます。(パケットには行き先情報も含まれています)
 注意:自分が契約しているプロバイダのアクセスポイント(プロバイダの窓口)までの電話料金はかかります。
(電話料金は、インターネットを楽しんでいる時間分、アクセスポイントに電話し続けていることと同じ状態であるため、その分の通話料が発生します。)
 インターネット利用にかかる費用は、電話料金とインターネットへの接続サービスをしてくれているプロバイダのサービス料が必要となります。

チェック! 中継地点では最も速く目的地へ着けるようにとパケットを送り出してくれますが、次の中継地点のさらに先が込んでいて結果的にホームページの情報が来ないといった場合があります。
その時は、一旦ブラウザ(インターネットエクスプローラ等)の”中止ボタン”を押し、その後”更新”または”再読込ボタン”を押すと再び情報を取りにいき、その時点での最速経路を選び直すので情報がスムーズに通ってくる場合があります。

 (※:TCP/IP Transmission Control Protocol/Internet Protocol "ティーシーピー・アイピー"と呼ぶ)

 
 
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インターネットとパソコン通信の違い
パソコン通信
 インターネットよりも早くネットワーク通信サービスとして普及していたものに、パソコン通信があります。
 パソコン通信は、ホスト局と呼ばれるコンピュータに接続することにより、電子メールサービスや各種情報提供サービス等、様々なサービスを受ける事ができます。
 しかし、サービスを受けれる人は、そのパソコン通信に加入している人だけであり、電子メールのやり取りも同一のパソコン通信に加入している人の間だけで行えるというものでした。

 現在では、多くのパソコン通信会社でインターネット接続サービスを行っており、同一のパソコン通信に加入していない人とも電子メールのやり取りができるようになったため、インターネットとパソコン通信の違いはあまり感じられなくなってきました。

インターネット全体図 インターネットは、パソコン通信も含むネットワーク全体といった位置づけになってきています。

 
 
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インターネットでできること

 インターネットでできる主なものとして、ネットワーク上で手紙(文字データ)のやり取りが行える電子メール、各種データを送受信することができるFTP、そして文字や絵、音声や動画等を貼り付けて情報の発信が行える電子掲示板(ホームページも含まれる)があります。
(一般にインターネットと呼んでいる場合は、電子掲示板システムまたはWWWを示します。)

 FTPは聞き慣れない言葉かもしれませんが、ご自宅のパソコンでホームページを作成した場合、プロバイダから借りているホームページ公開用領域に作成したデータを送る作業もFTPです。

 (※:FTP File Transfer Protocol "エフ・ティー・ピー"と呼ぶ)
 (※:WWW World Wide Web "ワールド・ワイド・ウェブ"「世界中に張り巡らされた蜘蛛の糸」という意味)

 
 
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WWWのしくみ

 WWWとは、ホームページをインターネット上で実現するための仕組みのことです。

 WWWでは、ホームページをURLというインターネット上での住所で管理し、リンク(関連付け)をすることにより、ホームページのある場所を意識する事なくホームページを渡り歩くことができるようになっています。
 また操作もマウス(左)ボタンのクリックだけで行えるため、誰にでも簡単に使用できます(ホームページの閲覧が行えます)。

 URLとは、どこにどのような形式でデータが公開されているかを表しているもので、http://www.〜/という形式でテレビや雑誌等で宣伝されているものです。

リンク構造概念図 ホームページ等がリンクによって関連付けされていますが、これはリンクするための任意のボタン(文字や画像等)と、そのボタンをクリックされたときにどこのホームページが表示されるのかという指定をするだけです。

 このリンクの構造は、ハイパーリンクと呼ばれ、ハイパーリンクを実現するために考え出されたプログラム言語がHTMLです。ホームページはHTMLで書かれている(作成されている)とも言えます。

 (※:URL Unfiorm Resouce Locator "ユー・アール・エル"と呼ぶ)
 (※:HTML HyperText Markup Language "エイチ・ティー・エム・エル"と呼ぶ)

 
 
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ネットサーフィンを楽しんでみよう

 では、実際にホームページを渡り歩くネットサーフィンを楽しんでいただき、ホームページではどのような表現ができるのかを、ご自分の目でご確認ください。

 リンクの設定がされている場所をマウスポインタ(矢印カーソル)が通ると、マウスポインタが手( )に変わります。マウスポインタが手の状態の時にクリックすると、リンク設定がされているリンク先に表示が切り替わります(または新しいウインドウが開き表示されます)。

 新しいホームページへジャンプした場合等に、ツールバーの戻るというボタンが使用可能となり、前に見たページへ戻る事ができます。

 前に見たページへ戻るボタンで戻った場合に、進むというボタンが使用可能となります。これは戻るボタンの逆で、現在表示されているページの後に表示されたページがある場合に、そのページへ進むことができます。

 ホームページを見ていて気に入ったページがあった場合、そのページの場所(URL)を記録させておくことができます。再度そのページが見たいときには、この機能が大変便利です。
 記録の仕方は、メニューバーのお気に入りよりお気に入りに追加を選び記録させるものや、メニューバーのブックマークよりブックマークを追加を選び記録させるもの等、記録のさせ方は使用しているWWWブラウザによって違います。


(参考)下のWWWブラウザは、マイクロソフト社のインターネットエクスプローラ(Version 3.02)のウインドウです。
 


 
 

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