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Q1. 総合型地域スポーツクラブを創造する上で、最も重要なことは何でしょうか。
Q2. 総合型地域スポーツクラブを育成していく上では、既存のスポーツ関係者、関係団体等との調整が難しいと聞きますが、どうすればよいでしょうか。
Q3. 総合型地域スポーツクラブを育成していく上では、行政部局内での調整が大切だと聞きますが、どうしてですか。
Q4. 総合型地域スポーツクラブを創設していく上では、行政主導からいかに地域住民主導に移行していくかが難しいと聞きますが、どうすればよいのでしょうか。
Q5. 総合型地域スポーツクラブを育成していく上で、学校の運動部活動との連携をどのようにとったらよいでしょうか。
Q6. 総合型地域スポーツクラブのバリエーションにはどのようなものがありますか。
Q7. 総合型地域スポーツクラブのエリアは、どの程度が適当でしょうか。
Q8. 総合型地域スポーツクラブの拠点施設として必要な機能は何でしょうか?
Q9. 会員に受益者負担の意識を醸成するためにはどうすればよいでしょうか?
Q10. 指導者はどのようにして確保すればよいでしょうか。
Q11. 総合型地域スポーツクラブ創設に向けた市区町村の行政の役割は何でしょうか。具体的にはどんな支援ができるでしょうか。



総合型地域スポーツクラブを創造する上で、最も重要なことは何でしょうか。


なぜ、我がまち、地域に総合型地域スポーツクラブをつくるのか、まち、地域のみんなが誰でも参加できるクラブをつくることによって、まち、地域をどうしたいのか、どうするのかについて理念を共有することが最も重要です。
総合型スポーツクラブつくりの理念は、地域の実情に応じていろいろな角度から考えられます。例えば、青少年の健全育成、世代間の交流、地域社会の再生、地域スポーツ文化の確立などの中からテーマを選び、しっかりと検討しましょう。地域住民の皆さんが身近で共感のできる理念を積極的に発信することにより、賛同の輪を広げていきましょう。理念のもとに集った人たちがクラブ設立推進の核となるでしょう。



総合型地域スポーツクラブを育成していく上では、既存のスポーツ関係者、関係団体等との調整が難しいと聞きますが、どうすればよいでしょうか。


地域には、体育協会、スポーツ少年団、種目別スポーツ団体などの既存のスポーツ団体や、市区町村の非常勤職員としてスポーツ指導に関わってきた体育指導委員がいます。これまで、こうした団体や人たちが地域のスポーツ振興の一端を担ってきました。
一方、総合型地域スポーツクラブは地域住民が主体的に運営する多種目、多世代、多様な技術・技能を有する人たちで構成されるクラブで、地域における新しいスポーツ活動の提案です。ですから、名称や組織、活動が明確なイメージとして捉えにくい面があり、既存のスポーツ団体等には自分たちの活動を阻害するのではないかという警戒感もあるのかもしれません。しかし、少子・高齢化の進展、地域コミュニティの喪失など地域社会が変わっていく中で、スポーツの果たす役割に大きな期待が寄せられています。地域住民が積極的にスポーツ活動を展開する場が増大することは、既存のスポーツ団体にとっても指導者の派遣、スポーツイベントの運営に対する助言など、活躍の場が広がることにつながります。さらに、スポーツ少年団という組織や特定のスポーツ種目を核として、自ら総合地域スポーツクラブの育成に取り組むことも考えられます。総合型地域スポーツクラブは、スポーツ団体等がこれまで培ってきた活動の蓄積を活かし合う場であることを念頭に関係者の理解を求め、啓発していくことが重要です。



総合型地域スポーツクラブを育成していく上では、行政部局内での調整が大切だと聞きますが、どうしてですか。

総合型地域スポーツクラブの育成は、スポーツ振興のみならず、地域における住民意識や連帯感の高揚、世代間の交流、高齢社会の対応、地域住民の健康・体力の保持増進、地域の教育力の回復など、21世紀における新たな地域社会の形成にも寄与することが期待されています。
したがって、教育委員会事務局内の生涯学習や学校教育の所管はもちろんのこと、未就学の子どもや高齢期の健康増進を所管する部局等とも十分に連携を図り、総合型地域スポーツクラブ育成の理念の共有化を図りましょう。



総合型地域スポーツクラブを創設していく上では、行政主導からいかに地域住民主導に移行していくかが難しいと聞きますが、どうすればよいのでしょうか。

クラブ設立の仕掛けやきっかけづくりは、行政やスポーツ団体であっても設立されたクラブを運営し、育てていく主体は地域の住民の皆さんです。
これからクラブを立ち上げようと計画している市区町村の行政担当者の皆さんは、このことを常に念頭におき、クラブ創設に向けてのキーパーソンとなる人材を発掘しましょう。
そして、キーパーソンを中心としたクラブ設立の推進グループを形成していきましょう。
これまでの取組の結果、クラブ設立に向けての推進の核となるグループができつつある市区町村行政の担当者の皆さんは、できる限りメンバーの意見を引き出すオブザーバー的な役割にまわり、
推進グループの主体的な取組を引き出すように努めましょう。
また、過度に行政に依存せず、主体性を持った設立準備委員会とするために、その事務局は行政組織の外に配置するよう促しましょう。



総合型地域スポーツクラブを育成していく上で、学校の運動部活動との連携をどのようにとったらよいでしょうか。

どのように学校の運動部活動との関係を構築していくかは、多くの地域において、総合型地域スポーツクラブを育成していく上での大きなポイントになるでしょう。
そこで重要になるのが、子どもたちのスポーツ環境を一層充実させるためには、部活動とも連携した総合型地域スポーツクラブが望まれているという観点です。
クラブの皆さんは、学校の体育施設に活動の拠点を置くために、単に自分たちの活動の場を借りるという姿勢ではなく、地域住民である子どもたちのスポーツ環境を良くするという理念で、学校の運動部活動との連携を考えていきましょう。
学校や運動部活動指導者の皆さんも、現在の運動部活動では補いきれない場合もある子どもたちのスポーツニーズに応えるとともに、完全学校週5日制に伴う子どもたちのスポーツ活動に対する場の提供という観点で、また、開かれた学校づくりの一環として学校体育施設の共同利用を一層促進するという観点で、総合型地域スポーツクラブとの連携を考えていきましょう。
行政の担当者は、市区町村教育行政の中で、ともすればこれまで必ずしも十分でなかった学校教育とスポーツ振興の担当の間での情報交換に努め、情報の共有を図りましょう。
今後の子どもたちのスポーツ環境をどのように整備していくのかを、子どもたちに関わる様々な人たちが、子どもたちを主役として話し合い、つくり出していく必要があるということからスタートしましょう。




総合型地域スポーツクラブのバリエーションにはどのようなものがありますか。

先行的にクラブづくりに取り組んでいる事例等の中から、そのいくつかを紹介します。

1.小・中学生を中心とした青少年層を対象に立ち上げた事例があります。このクラブでは、地域のスポーツ少年団などの単一種目のチームをすべてを融合し、さらに中学校の部活動の一部(土日の活動)をスポーツクラブの活動に位置付けて小中一貫で連動させています。
学校と地域がうまく連携したクラブつくりです。このことは、子どもたちの教育という点からも有意義です。
開かれた学校づくりは総合型地域スポーツクラブの起点になります。
学校側に働きかけるには、市区町村教育委員会の学校教育を主管する課との連携が必須です。

2.成人を主な対象として立ち上げた事例があります。地域では、学校開放施設の利用者として多くのサークルが活動していますが、それらで構成する施設ごとの組織を立ち上げの母体にしたものです。
クラブは利用施設に集うチーム連合的な組織になるわけです。
その上で、それぞれのサークルの活動を少しずつオープンにしていって、徐々に総合型地域スポーツクラブ化していくものです。

3.これは少し独特な地域性が背景として必要なのかもしれませんが、クラブを自治会などの活動としてしまって住民すべてをクラブ会員とする事例もあります。
この方法は住民の合意さえ得られれば行政にとって比較的取りかかりやすいでしょう。

4.行政が調整役となり、体育協会やレクリエーション協会それに体育指導委員などすべてのスポーツ関係団体を網羅して組織の再編を図りながら、クラブつくりに取り組んでいる事例があります。
これも行政が力を発揮する手法の一つでしょうが、長期的な展望を持った取組がないと、単なる組織の再編にとどまり、クラブの育成にまで至らないおそれがあります。

5.海外では有名な国際的イベントを運営するクラブもあります。日本でも、地域のイベントを運営するために力を合わせたグループが母体となっている事例があります。

6.地域にあるプロチームや企業のトップチームが母体となって行政が支援をしながら総合型地域スポーツクラブに移行する事例も出てくるでしょう。
いずれにしても、総合型地域スポーツクラブは、地域の実情に合わせて地域住民が創るクラブですので、 クラブ設立のきっかけや経緯は様々でしょう。それぞれの地域で、既存の枠にとらわれず、自由な発想からスタートしましょう。




総合型地域スポーツクラブのエリアは、どの程度が適当でしょうか。

学校区などの行政区割りは、行政上の効果や効率を考えて設定されていますので、クラブの地域的な範囲を考える参考になるでしょう。そうするとおおむね1万人から2万人程度の住民を会員の対象にしたクラブを想定することになるでしょう。
しかし、単純に学校区などの行政上の区割りをあてはめるのではなく、あくまで拠点となる施設を中心として、会員が徒歩や自転車で日常的に無理なく通える範囲を考えることが大切です。範囲が狭すぎると会員の対象人口が少なく、会員収入を中心とした。恒常的な自主運営が難しくなることが考えられますが、逆に範囲を広くしすぎると、会員の対象人口は多くなり、一人あたりの会費が廉価に押さえられ、徴収が楽になる反面、日常的に会員が交流することが難しくなり、活動内容もプログラムの提供に終始してしまうおそれがあります。
文部科学省のスポーツ振興基本計画では、将来的には中学校区程度の地域での総合型地域スポーツクラブの定着を最終目標に掲げていますが、地域の実情に応じ、永続的なクラブとなり、かつ会員が帰属意識をもてるようなクラブのエリアを検討しましょう。



総合型地域スポーツクラブの拠点施設として必要な機能は何でしょうか?

総合型地域スポーツクラブは様々な人々が集う空間です。それは拠点施設としてハードが作り出す空間ではありますが、住民のスポーツ欲求を満たすスポーツ事業が展開される空間であり、また、地域の様々な人々のコミュニケーション空間でもあります。さらに、現在、総合型地域スポーツクラブに入っていない地域住民に対し、クラブについての情報を発信する場でもあります。このように考えると、クラブの拠点施設には地域のコミュニティセンター的な多様な機能が期待されることになります。
拠点施設の機能を大別すると、 1.スポーツ活動を充足する機能
2.地域住民のコミュニケーションを充足する機能

そして施設の将来的発展を考えると
3.住民の生涯学習を保障する機能が考えられます。
1については屋外・屋内の多様なスポーツ種目がスポーツ施設があることが望まれます。
2.の機能を充足するクラブハウスは、人々が交流する空間として必須なものですし、できればゆったりとしたオープンスペースも取りたいものです。
さらに総合型地域スポーツクラブがコミュニティセンター的な機能を発揮しようという意志があり、そして会員がスポーツ以外の文化活動にも関心があるのであれば、学習室や調理室など生涯学習の機能も必要になってくるでしょう。
なお、クラブハウスには、クラブ経営の拠点としての機能やクラブの情報の発信・集約拠点としての機能も望まれます。



会員に受益者負担の意識を醸成するためにはどうすればよいでしょうか?

我が国のスポーツの発展の経緯から、スポーツサービスは無料又は廉価で行政から提供されるものという意識を持っている人が多いのも事実です。ですから、クラブが会員である地域住民の会費により自主的に維持、運営されるものであるという基本認識が足りない場合が多いようです。
クラブ創設期から会員は単なる参加者ではなく、自ら所属するクラブを運営する一員であるという意識を持ってもらう必要があります。つまり、会員はサービスの享受者であると同時に、提供者でもあるということを自覚してもらう必要があります。
そのためには、会員が自らクラブの運営に参加しているという意識を醸成していく必要があります。クラブ全体がどのように運営され、自分たちが支払った会費がどのような事業に活かされるのか、また、クラブの将来計画やそのための資金計画はどうなっているのか等、財務状況をわかりやすく説明し、会員一人一人に理解してもらいましょう。
現状の公共料金の相場観から、創設期に経費と無関係に低すぎる会費を設定してしまうことは、かえって永続的なクラブ運営に支障を来すおそれがあります。クラブの運営に見合った収入が得られるように計画し、その中心となる会費について適切な金額を設定しましょう。



指導者はどのようにして確保すればよいでしょうか。

地域社会にはたくさんの隠れた人材が存在するものです。地域社会にどのような種類の有資格スポーツ指導者やスタッフとなりうる候補者が存在しているか調査しましょう。また、教育委員会や体育協会等の協力を得てスポーツリーダーバンクを活用したり、市区町村の広報誌で、地域に潜在している熱意と能力のある人を募集することも考えられます。いずれにしても、クラブを運営していくためには、各スポーツ種目のスポーツ指導者をはじめ、事業を展開するための活動運営スタッフ、組織や施設を管理・運営するスタッフなど、様々な人材が必要になります。創設期に活躍できる人を少しでも幅広くクラブとして保有することは、クラブの発展・成長にとってとても大切になります。
このような指導者の多くはボランティアであり、地域社会に生活する人々の中から求めることが基本になります。この作業は、クラブ設立に向けた推進グループや設立準備委員会の仕事になるでしょうが、もちろんクラブ設立後も、絶えず調査や募集は継続していく必要があります。



総合型地域スポーツクラブ創設に向けた市区町村の行政の役割は何でしょうか。具体的にはどんな支援ができるでしょうか。

市区町村は、地域住民にとって最も身近な行政主体です。総合型地域スポーツクラブの創設を推進していくために、市区町村による積極的な総合型スポーツクラブ育成の取組が求められます。
まず、文部科学省の「スポーツ振興基本計画」を参考にしながら、自らのスポーツ振興計画を策定・改定する際、総合型地域スポーツクラブの育成を計画の中に位置付けることが挙げられます。そして、ともすればこれまでイベントの中心になりがちなスポーツ行政ではなく、総合型地域スポーツクラブの育成を中核に据え、変化する住民ニーズを適時適切に把握し、地域住民の主体的なスポーツ活動を支援する方向へ行政の重点を移行するよう努めましょう。
具体的には、創設の核となる熱意と能力のある人材の発掘と養成、活動のための資金の援助、クラブハウスや活動拠点の確保のための支援など、きっかけづくりや地域住民の主体的な活動への支援が挙げられます。
なお、文部科学省「総合型地域スポーツクラブ育成モデル募集」に取り組んだ市区町村では、モデル事業終了後に、下のような「クラブつくりに向けた行政の役割」を挙げています。参考にしてください。


先進地域からのアドバイス

金ヶ崎町総合型地域スポーツクラブ(岩手県金ヶ崎町)

総合型地域スポーツクラブ育成モデル事業に取り組んで以来、クラブ員が主体的にクラブの運営を行うことを一つの目標に掲げ、行政のスタンスとしては、「指導や助言はするものの、基本的にはクラブの自由意志によりクラブを運営し、行政は側面から支援・援助する」こととして事業を展開してきた。したがって、各単位クラブはもちろんのこと、全町連絡協議会の会議においても、行政は支援・援助する立場で出席している。
行政の役割は、各クラブを支援・援助することはもちろんであるが、クラブ員、ひいては町民が、生涯スポーツを楽しむ上で必要な環境の整備を行うとともに、指導者の育成や障害となる課題の解決を図っていくことであると考えている。
今後も、この立場を堅持しながら、町民のクラブ加入による生涯スポーツの推進を図り、クラブの育成を図っていくことにしている。
成岩スポーツクラブ(愛知県半田市)

総合型地域スポーツクラブの育成は地域住民主導でなされることが望ましい。そのためにも行政としては、次のような支援が必要であると考える。
総合型地域スポーツクラブの育成を基盤としたスポーツビジョンを策定し啓発する。
学校開放に際して、施設の管理運営体系の見直しをする。
総合型地域スポーツクラブの公益性を明確に位置付け、施設利用面などで大胆な優遇措置を講じる。
中体連などの学校体育団体とクラブ受け入れのための協議を行う。
指導者を育成するとともに、運営や指導に関わるボランティア活動を推奨する。
大谷コミュニティスポーツクラブ(福岡県北九州市)

行政がクラブつくりに関わるとき、補助金の交付やスポーツ施設の提供等やらなければならないことはたくさんあるが、その中でもクラブつくりに向けた行政の第一の役割は、行政自身の地域スポーツクラブに対する認識を深めることにあると考える。総合型地域スポーツクラブは今までになかったスポーツの活動形態であり、自発的、自主的に地域から生まれることは難しい状況にある。そのため行政が総合型地域スポーツクラブの必要性を十分に認識した上で、地域の実情にあった方法で行政主導により事業を進めていかなければならない。
第二は、人材の育成である。当初は行政主導でも最終的には、地域住民による事業の展開を目指すものであるが、その際、意欲ある人材は不可欠である。行政からバトンタッチすべきキーパーソンを見出し、育てていくことも行政の大きな役割であると考える。