県史連続講座『通史編2 中世1』『通史編3 中世2・織豊』
 いくさ・ほとけ・みち〜激動の中世社会と尾張・三河〜 第2講座 寺社と祈る人びと

 愛知県では平成6年度から県史編さん事業を行っており、平成30年3月に第20回配本として『通史編2 中世1』『通史編3 中世2・織豊』を刊行しました。
 今年度は、『通史編2』『通史編3』の執筆者が、各巻に関する内容をテーマに沿ってわかりやすくお話しします。信長・秀吉・家康などの権力者だけでなく、この地域に生きたさまざまな人びとの歴史について学んでみませんか。
※講義の様子の動画または音声です。

<開催日>平成30年9月22日(土)
<会場>愛知県立大学サテライトキャンパス

主催:愛知県総務部法務文書課県史編さん室・愛知県立大学日本文化学部
提供:愛知県総務部法務文書課県史編さん室

プレゼンテーション 15世紀の記憶〜延命寺からみる地域史〜

愛知県立大学日本文化学部歴史文化学科3年 南谷飛鳥さん
 愛知県立大学中世史研究会は、学生の自主的な集まりです。その活動の一環として、大府市の古刹延命寺に所蔵される室町時代の大般若経を調査しています。数ある寺宝の一つ、この写本大般若経は、非常に良い保存状態で600巻すべて揃い、歴史史料としても大変貴重です。
 600巻もの写経という事業には、人手や費用の確保に苦労したはずです。その事情の解明は、地元の歴史を具体的に知ることにつながります。そこで私たちは、一巻ごとに隅から隅まで目を通し、筆跡から執筆者を思い浮かべ、追記された地元の地名や人名などを拾いました。2月から9月の調査11回で600巻すべてに目を通しました。今後も調査を重ね、愛知県や大府市の歴史を探りつつ、文化資源の発見に役立ちたいと考えています。


講義1 尾張・三河の顕密寺社

稲葉伸道委員(名古屋大学名誉教授)
 中世は仏教の時代である。講義では平安院政期に体制仏教として確立していた顕密仏教が、南北朝期頃までは大きな社会的勢力を持っていたととらえ、その尾張・三河における顕密寺院について、その特徴を概説する。三河の瀧山寺・普門寺などの「一山寺院」が天台宗と真言宗の混在する寺院であったこと、顕密寺院を経済的に支える檀那が在庁官人・荘官・地頭・村落領主などから宿の長者までさまざまであったこと、尾張の真福寺にみるように「談義所」(学問所)としての役割をもっていたことなどについて説明する。

 <執筆>
 『通史編2 中世1』
 ・第1章 中世の尾張・三河
 ・第4章 荘園・公領の展開
 ・第6章 鎌倉・室町時代の寺社と文化


講義2 「虫けら」たちの禅詩文

齋藤夏来委員(名古屋大学大学院教授)
 中世の禅宗といえば、有力武士の坐禅による精神鍛錬だというイメージが今でも強い。鈴木大拙らの哲学的見地だが、史料に基づく歴史的理解とはいえない。本来の禅宗は詩的宗教だという理解がある。蘭溪道隆のいう蠹類(とるい)(虫けらたち)の詩的生活として、中世禅宗史を描き直せないだろうか。妙興寺文書は、中世禅宗の信徒たちの実態を示す。僧俗にまたがる養父子関係、先祖から子孫にいたる「家」の永続よりも自己の解放をめざすなど、武家よりも庶民層に近い特徴を読み取れる。いわゆる五山文学に属する詩軸は、白髪を題材に人間の平等性をうたう唐詩を典拠としながら、蠹類の一員であった織田氏の台頭を示唆する。
 <執筆>
 『通史編2 中世1』
 ・第6章 鎌倉・室町時代の寺社と文化
 『通史編3 中世2・織豊』
 ・第5章 戦国・織豊期の文芸と生活文化


講義3 戦国乱世を生き抜く新仏教と民衆−本願寺・一向一揆を中心に−

安藤弥委員(同朋大学教授)
 <執筆>
 『通史編2 中世1』
 ・第6章 鎌倉・室町時代の寺社と文化
 『通史編3 中世2・織豊』
 ・第3章 戦国・織豊期の都市と村落
 ・第4章 戦国・織豊期の寺社と信仰

「動画再生」「音声再生」をクリックすると動画または音声が再生されます。
※なお、通信回線の状況により再生がうまく出来ないことがありますのでご了承ください。