親のための子育て経験談集 
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は じ め に

   子どもにとって家庭は、誕生以後の生活の場であり、学習の場であります。親は子どもにとって教師であるだけでなく、人間としてのモデルでもあります。子どもは親の姿を見ながら「人間形成の土台」となる基本的な生活習慣や善悪の判断、社会的なマナーなどを身に付けていきます。家庭は、すべての教育の出発点であります。
 また、地域社会は、家庭において身に付けた資質や能力を、様々な生活体験や社会体験、自然体験を重ねて子どもの中に根付かせていました。
 しかし、少子化、核家族、都市化などにより、地域での連帯意識も希薄となり、子育てを支える仕組みが崩れて身近に相談できる指導者がいないなど、子育てに自信のない親が増加してきており、家庭や地域の教育力の低下が大きな社会問題となっています。

   こうした社会状況を踏まえて、本県では、平成15年7月に知事の要請で「愛知の教育を考える懇談会」が設置され、これからの愛知の教育の方向性を見出すために、幅広い視点から議論がなされました。そして、平成17年2月に懇談会の最終報告が取りまとめられ、愛知の教育新生の取組についての提言が知事に提出されました。
 この最終報告に、「善悪をわきまえ、他人を思いやる心」を身に付けさせるための取組として『親心の育成(親育ちの支援)』が掲げられ、様々な問題を抱える親子に対して問題克服のヒントとなる体験談集の作成が提言されました。

 この冊子は現在子育て中のみなさんが、子どもへの対応で迷ったり悩んだりした時に、どのように子どもと向き合い、また対応したらよいのかというヒントになればと考えて作成しました。様々な機関や立場で育児相談や教育相談・心理相談や子育て支援、子どもへの支援に関わっているメンバーが、よくある相談内容について読みやすく分かりやすいように、当事者の立場から手記の形でまとめ、またそこから学ぶことができることを例示しました。

   この冊子が、今後、多くの場で活用され、子育てや家庭教育をされるうえで貴重なヒントとなり、親として家庭教育を考えていただく際に、役立つことを念願するものであります。

愛知県教育委員会

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