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 お囃子練習を通じたまつり文化の継承(知立市)/知立祭りお囃子練習

 東海道の宿場町であった知立には、伝統文化が残されていて、山車の出る祭りも、そのひとつである。試楽(しがく)と呼ばれる本祭りの前日に行われる行事に出される山車には、15年前から子どもたちが乗り、お囃子を演奏するようになっていて、3月からそれに向けて、子どもたちの練習が始まる。
 老人憩いの家でもある集会所に、夕方になると子どもたちが集まり、年配者とともに20代30代層の若者から笛や太鼓の指導を受ける。様々な住民に関わりながら祭り文化を身につけることになる。
 
1 経過
 子どもが知立祭りのお囃子に参加するようになってから10数年たっている。お囃子保存会があり、今まで経験してきた人が指導している。2000年度は、小・中学生合わせて26人ほどが参加(大人は15〜20人が参加)

2 内容

(1)対象    小学校3年生以上/回覧版で、参加する子どもたちを募集する。また、友達を連れてくる子どももいる。
(2)活動内容
    5月2日、3日に行われる知立祭りのため、約1ヶ月かけて本町の集会場で練習が行われる。日曜日以外の毎日集まり、1日約1時間の練習をする。子どもの練習の後、同じ場所で大人が練習をする。
主に太鼓は小学生、横笛は中学生、三味線は大人が担当しており、特にテンポの遅いものは合わせることが難しいため中学生以上で演奏される。本番前に父母を招いて発表の場が設けられる。
知立祭りの1日目の試楽で子どもたちは山車に順番に乗って演奏することができる。
この山車に乗ることが楽しみで集まってくる子どもが多い。
本祭りでは、子どもの出番は少ないが、間祭りでは子どもが中心となってできるように曲目も簡単なものにして、山車に乗る時間も多くしている。
(3)学校との連携
  知立祭りは市民祭りの形態をとっていないため、今のところ学校で大きくとりあげられてはいない。知立祭りの当日だけは、事前に、学校に連絡して休んでいいことになっている。
3 成果と今後の課題
   地域で子どもを育てるというよりは、後継者をつくるという意識が見られた。しかし、活動にかかる費用は地域の人々の「祝儀」でまかなわれていることや知立祭り自体にたくさんの人が関わっていることなども含め、地域的なつながりを強く感じた。
子どもがこのような場に自主的に集まってきていることは、子どもの発達に大きな影響を与えるものと思われる。
お囃子の形態は、年々変わっているので大人の中にはしばらく関わらないうちに、指導することができなくなってしまう人もいるが、指導者は20代から30代の若者も含まれており、地味な活動ではあるが永続性のあるものに思われる。
                                            
連絡先  知立市教育委員会 文化財係 TEL  0566─83─1133